米 権利料徴収機関「サウンドエクスチェンジ」の分配額が昨年同期比25.5%アップ

コラム 高橋裕二の洋楽天国

アメリカでインターネット・ラジオや衛星ラジオをやりたいのなら2種類の公的機関にお金を払わなければならない。音楽著作権についてはASCAPやBMIという非営利団体に使用料を支払う。その後これらの団体は作詞作曲家と音楽出版社に使用料を分配する。レコード(原盤権)については「サウンドエクスチェンジ」という非営利団体に使用料を払う。その後この団体は原盤権を保有するレコード会社と演奏したアーティストに使用料を分配する。

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従来アメリカのラジオ局は音楽の著作権使用料をASCAPやBMIを通じて支払っていたが、レコード(原盤権)の使用料は全く払っていなかった。ラジオがレコードをかけてやるのはそのレコードの宣伝の為だと。売れたらレコード会社が儲かるじゃないかと主張し続けてきた。

IT時代への突入やナップスターの脅威はレコード会社に防衛策をこうじた。2000年にアメリカ・レコード協会は下部組織に「サウンドエクスチェンジ」を作る。インターネット・ラジオや衛星ラジオやケーブルTVチャンネルでレコードを使いたいのなら「サウンドエクスチェンジ」に使用料を支払えというもの。

2003年からこのやり方がスタートした。先週業界誌ビルボードが、10周年を迎えた「サウンドエクスチェンジ」の実態を伝えた。それによるとレコード会社やアーティストに支払う金額はこの第3四半期で149億円(1$97円換算)に上り、昨年の同四半期に比べ25.5%のアップ、一昨年の同四半期に比べ74.7%アップしたという。インターネット・ラジオのパンドラからどれくらいの入金があったか等は発表されていない。

いずれにせよこれらの実績で、既存のラジオ局から使用料を徴収しようという動きは活発になるだろう。ちなみに「サウンドエクスチェンジ」は現在、レコード協会から離れ独立機関となっている。またスポティファイのようなオン・デマンドの配信は「サウンドエクスチェンジ」に含まれない。スポティファイは個別に原盤権保有者に使用料を支払っている。以下が「サウンドエクスチェンジ」の10年間の支払い金額の推移。今後iTunesRadioの参入でどう伸びるだろうか。日本ではこのやりかた、多分不可能に近い。

米 権利料徴収機関「サウンドエクスチェンジ」の分配額が昨年同期比25.5%アップ

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