AI音楽、リスナーからの支持がますます低下 ルミネイト調査
音楽ファンはAIが作成した楽曲に対してますます違和感を覚えるようになっており、この傾向は特にZ世代やアルファ世代で顕著ーー。米国のエンターテインメント業界向けデータ会社ルミネイト(Luminate)の最新の報告書から、こうした実態が明らかとなった。
調査では、2025年5〜11月にかけて、米国のリスナーを対象に音楽制作におけるAI利用に対する意識を比較。AI音楽に対する全体的な関心度はマイナス13%からマイナス20%へと低下した。最もAIに否定的なのは依然として高齢層だが、下落幅はZ世代・アルファ世代が最も大きかった。
調査結果には、AIを部分的に使用したもの(歌詞やボーカルの作成など)に加え、AIによって完全に生成された楽曲も含まれているが、後者についてはより否定的な見方がされている。
見方が変化した理由は尋ねなかったものの、ルミネイトはAIに反対の声を上げるミュージシャンたちが世論を動かしている可能性を指摘。また「AI疲労」や「ブレインフライ(AIの過度な使用による精神的燃え尽き)」も人々の意識変化に影響を与えており、特にAIによる労働市場の急速な変化により強い不安を抱える若い世代においてその傾向が顕著だとしている。
Spotifyなどは、リスナーがAIを使って既存の楽曲をリミックスしたりアレンジしたりできるインタラクティブな機能を提供する方針だが、同調査によれば、人々は既存のアーティストのサウンドやスタイルを模倣した新しい音楽をAIで作成することに対して最も抵抗感を抱いていることが示されている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
ルミネイト(米エンタメ業界向けデータ会社)の調査で、AI音楽への関心度はマイナス13%からマイナス20%へ低下。半年で7ポイントの下落となった。最も急激に硬化したのはZ世代・アルファ世代で、マイナス6%からマイナス16%へ10ポイント下落と、デジタルネイティブ層が際立つ。同社のオードリー・ショーマー氏は背景に、反AIアーティストの発信、AI疲労やブレインフライ(AI過度使用による精神的燃え尽き)、労働市場急変への若年層の不安を挙げる。2024〜2025年にはビリー・アイリッシュら200名超が連名で抗議声明を出しており、若年層ほど「推し」の倫理観に敏感な規範意識が数字に表れた形だ。
ただしリスナーはAI技術全般を否定しているわけではなく、拒絶対象は「アーティストの代替としてのAI」に絞られる。「人間らしさ(Human Spark)」が付加価値として再定義されるフェーズで、人間のクリエイティビティを補完している透明性をどう伝えるか——信頼の構築が次の設計指針になる。
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
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