稲垣吾郎が挑む、狂気と運命と歓喜~舞台『No.9-不滅の旋律-』ベートーヴェン生誕250周年に再々演決定

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(右:2018年 舞台写真 photo 岩田えり)

(右:2018年 舞台写真 photo 岩田えり)

稲垣吾郎主演舞台『No.9-不滅の旋律-』が2020年12月にTBS赤坂ACTシアターで上演される。

『No.9-不滅の旋律-』は、“楽聖”ベートーヴェンが、傑作をいくつも書き上げた19世紀初頭のウィーンを舞台に、彼の苦悩の人生と創作の輝きを核に、精緻な演出とスケールの大きな戯曲、ダイナミックな音楽表現で構築し、大きな感動を呼び起こした舞台作品。2015年・2018年の上演に続き、ベートーヴェン生誕250周年の今年2020年、再々演が決定した。

2018年 舞台写真 photo 岩田えり

2018年 舞台写真 photo 岩田えり

ドイツの音楽家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは、卓越した音楽の才能を持ちながらも聴覚障害となるなど波乱の人生を余儀なくされた。激しい生き方にも重なる作品群は、音楽の進化&深化を数十年早めたといわれる。 ピアノソナタ「悲愴」「月光」や交響曲第五番「運命」、 第六番「田園」、そして最後の交響曲「第九番」など、 国や時代を超えて人々を魅了する楽曲群は、 後世の音楽家たちにも多大な影響を及ぼした。

2018年 舞台写真 photo 岩田えり

2018年 舞台写真 photo 岩田えり

そんなベートーヴェンを初演から演じ、回を重ねるたび新たな生命を吹き込む熱演を見せてきた稲垣吾郎が今回の再々演にも挑戦。度重なる人生の困難に翻弄され、自身の身も心も引き裂くような激情でそれらを乗り越える天才の圧倒的な存在感と、人としての繊細な感情の機微を、楽聖が憑依したような迫真の演技で体現し、俳優として新たな地平を拓いた稲垣が、表現者としてさらに円熟味を増した今、さらなる演技の深化が期待される。

 ベートーヴェン:稲垣吾郎

ベートーヴェン:稲垣吾郎

ベートーヴェンを秘書として支えるマリア役は再演で高い評価を得た剛力彩芽が続投。他にも片桐仁村川絵梨岡田義徳深水元基橋本淳奥貫薫羽場裕一長谷川初範ら実力派俳優が引き続き盤石のドラマを築く上に、『刀剣乱舞』や『ヒプノシスマイク』などの人気公演で注目を集める前山剛久が新たに座組に加わる。また、幼少期のベートーヴェンをTBSドラマ『テセウスの船』で殺人鬼を演じ、 天才子役と謳われた柴崎楓雅が演じる。

マリア:剛力彩芽

マリア:剛力彩芽

今回の再々演を企画するにあたり、ベートーヴェンの生誕を祝う記念すべき公演として11月にウィーン・フォルクス劇場での開幕も予定されていたが、 今なお世界中で猛威を振るう新型コロナウィルスの感染状況を考慮し、ウィーン公演の中止を決断、 東京公演のみ細心の注意を払い上演する運びとなった。

2018年 舞台写真 photo 岩田えり

2018年 舞台写真 photo 岩田えり

2018年 舞台写真 photo 岩田えり

2018年 舞台写真 photo 岩田えり

以下に主演の稲垣吾郎、演出の白井晃のコメントを紹介する。

■主演・稲垣吾郎コメント

『No.9―不滅の旋律―』2020 三度目の上演にあたって

2020年はベートーヴェン生誕250周年。その記念すべき年に、舞台『No.9―不滅の旋律―』を上演し、回を重ねてルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンという天才音楽家を演じられることを、非常に嬉しく思います。

2015年の初演時は、これまで演じたどの役とも違う圧倒的な存在感や強烈な個性に戸惑い、悩ましい時間を過ごしました。
けれど演出の白井晃さんをはじめ、 共演の皆さんがしっかりと支えて下さる中、徐々にベートーヴェンと僕との距離は縮まっていったのです。 結果、 自分なりのベートーヴェン像が、 回を追うごとに確かなものになっていったように思います。

俳優の仕事には、その時の自分が役に影響を及ぼすドキュメンタリー的な部分がある。自分の「今」をオリジナル作品で、しかも偉大な音楽家に託して表現する機会もくださった制作の方々には感謝しかありません。

実は今回、ベートーヴェンが活躍したオーストリアの首都ウィーンでの公演も予定していました。場所はベートーヴェン没後に建てられた、当時の栄華を残す「フォルクス劇場」です。けれど、その素晴らしい企画は世界を覆う新型ウイルスの脅威により、断念することになりました。加えて国内での創作・上演も、これまで以上に注意を払い、万全の感染予防対策を行ったうえで進めねばなりません。

でも、この厳しい状況下だからこそ僕は『No.9』を、一人でも多くの方に届けたいと思うのです。劇中終盤の交響曲第九番、その中で力強く歌い上げられる「歓喜の歌」は作品の白眉であり、世界の平和と幸福を願い、自身の孤独をも昇華しようという作曲家の大いなる祈りが込められています。まさに現状に苦しむ人々に、届けるべき調べと言葉がそこにあるのです。

だからこそ迷いなく創作を深め、僕が愛してやまない人間ベートーヴェンを再び舞台で生きることは大きな使命。その先には、再びの「夢」に手が届く日も来るはずです。さらなる未来へと続くこの上演を、多くの方に見届けていただきたいと思います。

稲垣吾郎、ウィーン・フォルクス劇場にて

稲垣吾郎、ウィーン・フォルクス劇場にて

■演出 白井晃コメント

生きることへの讃歌

この歓喜のドラマは、生きることへの讃歌です。苦しみの中からひと摑みの喜びを見出す物語です。

今、演劇は大変厳しい状況に直面しています。再々演の機会に恵まれ、11月にはベートーヴェンの活動拠点だったウィーンでの公演が決まっていました。日本で生まれたベートーヴェンの物語を本場で披露することを楽しみにしてきましたが、残念ながらこのチャンスは未来に持ち越されることになりました。

私たちの心は、今、見えない恐怖の前に萎縮してしまっています。しかし、本来、私たちの営みは、生きる意味を見出し、それぞれの喜びを得るためにあるはずです。ですから、私たちは立ち停まることなく前に向けて進む道を選びました。

この公演を実現することで皆さんと、この物語を共有するという喜びを、改めて分かち合いたいと思っています。

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