WANIMA 幕張メッセ2DAYS完遂、新曲「Drive」ら全24曲を披露

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WANIMA

WANIMAが、20万人を動員する全国ツアー「Everybody!!Tour」幕張メッセ公演を4月21日・22日の2日間にわたり開催した。

この公演ではメジャー1stフルアルバムから、広瀬すずが出演することでも話題のロッテ「爽」の新CMに起用されている「シグナル」や、世界で活躍するプロ体操選手・内村航平が出演するリンガーハットのCMに起用されている「Everybody!!」、そして昨年末の「第68回紅白歌合戦」でも披露された「ともに」などが披露され、2日間で超満員の集まった4.5万人を熱狂の渦に巻き込んだ。

そして、先日発表となったばかりの話題の映画「OVER DRIVE」に書き下ろした自身初となる映画主題歌「Drive」が披露された。

この曲は未だ映画の予告編でその一部しか聞くことが出来ず、さらに音源化の予定も発表されていないことから、既にファンの間でも話題になっていた楽曲。

彼らのライブでもこれまで一度しか披露されていなかっただけに、3人によるパフォーマンスでその全貌が明らかになると、演奏後には鳴り止まんばかりの拍手と歓声が集まった会場中のファンから寄せられた。

4月22日「Everybody!!Tour」幕張メッセ公演 ライブレポート
WANIMAが4月22日に「Everybody!!Tour」千葉・幕張メッセ公演2日目を開催した。

1月17日にリリースしたメジャー1stフルアルバム「Everybody!!(エビバデ!!)」を引っさげたこのツアーもいよいよ終盤戦に差し掛かってきたが、各地で常に熱演を繰り広げてきたことが伝わっているのであろう。

この日は30度近い好天にも恵まれ、会場周辺にはお気に入りのWANIMA Tシャツを身につけたファンが開場前から詰めかけ、幕張メッセのみならず、その一体を覆い尽くすような状況。その始まりの時を今か今かと待ち望んでいるのが伝わってくる。

会場に足を踏み入れたとき、まず驚かされたのが会場のど真ん中に位置する正方形のステージ。その周りをオーディエンスが取り囲むようになっており、どこからでも彼らとともにライヴを楽しめる、意欲的なスタイルだ。

これは、KENTAがライヴ中にも語っていたが、ライヴハウスで育ってきたからこそ、こだわりたかったスタンディング形式を踏まえ、みんなに近づきたいと考えた結果、辿り着いたアイデアだという。四方それぞれに大型モニターも設置され、すべての人がいかなるときも楽しめるように配慮された作りも心憎い。

定刻を少し過ぎたところ、いきなり運動会のテーマソングで高揚感を煽ってから暗転し、お馴染みのSE「JUICE UP!!のテーマ」が鳴り響く。アリーナという特別な規模であるが、いきなりいつもWANIMAの空気感に満たされる会場。フロアのセンターに位置するステージ下からせり上がってきたKENTA、KO-SHIN、FUJIは思い思いに体を動かし、四方へ向けて気持ちを飛ばす。

まずは挨拶ばかりにと「JUICE UP!!のテーマ」に続き「OLE」という、「Everybody!!」を汲んだ流れでライヴはスタート。いきなりトップスピードで駆け出し、2万人のオーディエンスも大興奮。そこら中から歓声が湧き上がり、ステージに目をやると、このステージに立っている喜びを噛みしめるかのように、音を鳴らしていく。

そこから、改めてKENTAが「「Everybody!!Tour」、幕張メッセ最終日。WANIMAとみんなで開催しまーす!!」と宣言。彼らの魅力のひとつでもあるエロカッコよさでフロアを揺らし、さらなる灼熱へ誘ったかと思えば、高らかにKENTAが抱える想いを歌い上げ、その背中を押すようなオーディエンスの歓声も響き渡った「つづくもの」のように、しっかりと聴かせるチャンネルを持つのが彼らの強みだ。多彩な手法で飽きさせることなく、絶えずオーディエンスを引っ張り続けていく。

また、6月1日より全国東宝系にて公開される映画『OVER DRIVE』の主題歌として描き下ろした新曲「Drive」をここで披露。ツアー中に溢れた想いを書き留めたという、この曲。目の前の現実を受け止めた上で、しっかりと先へ手を伸ばすメッセージがこめられ、明日を信じる実にWANIMAらしい仕上がりだ。

初めて聴くオーディエンスも多かっただろうが、その言葉ひとつひとつをすべて受け止めようと、感じ取ろうと、ステージへと入り込む姿が印象的だった。

「幕張のテーマソング、歌ってもいいですか?」とKENTAが力強く投げかけ、歌にもプレイにもより一層のエネルギーがこめられた「Japanese Pride」も尋常じゃない熱狂を生み出す。心地よく頭と心が乱され、フロアもどんどん前のめりになっていくのが手に取るように伝わってくる。

そして、そのまま突き進むかと思いきや、中盤に差し掛かったところで、待ちかねていた人も多いであろう、アコースティックタイムへ。歌声とメロディーの良さを堪能できる場面だが、ただしっとりと聴かせるだけではないのが彼らの持ち味。特にKENTAは、その奥の奥の方まで響かせようと、マイクを手に持ち、歌いながらステージを所狭しと駆け回る。特に施されたアレンジも相まって、「昨日の歌」で描いた軽快で極上のノリを醸し出していた。

「それぞれ、みんないろいろあるけど、これからも“ともに”やからな!」とKENTAが大声で叫び、全体へではなく、駆けつけた2万人それぞれへ語りかけるように披露した「ともに」から後半戦をスタート。

昨年末には紅白でも披露したこの曲。それぞれが大切に抱えたい曲として浸透したのだろう。響き方も凄まじく、まさしく国民的ロックバンドとして歩き出したことが伝わる瞬間でもあった。

前半戦は多彩なチャンネルでオーディエンスを楽しませていたが、後半戦はまっすぐに切なる想いを届けていく。ただただ、その音と歌に気持ちをこめる姿。これだけの状況になっても驕ることなどなく、現場で伝えることを重要視する。

一歩を踏み出す力になる「ヒューマン」の直後、曲が持つ、いい重さを伴った余韻と共に飛び込んできた、「生きとったら、何とかなるからな。しびれるような明日を手繰り寄せてください」というKENTAの言葉。決して目には見えないが、彼らを信じるに値するモノがそこにはあった。

ライヴも終盤戦に差し掛かり、さらに加速度を上げていく彼ら。ここからは多様なアプローチを再び披露。フロアをダンサブルに揺らし、さながら熱帯夜のような空間を作り出したかと思えば、パワー感みなぎるバイブスでうねりを巻き起こす等、自由自在に染め上げていく。

オーディエンスもそれに負けじと大きな盛り上がりを見せ、そのリアクションの凄まじさにKO-SHINが「ありがとうございます!」と絶叫するほど、完全にお祭り騒ぎとなっていく。

また、KENTAが「WANIMAとみんなで!」と大声を上げ、歌い出しから大合唱が巻き起こった「シグナル」はハイライトのひとつ。1,000人の18歳世代とステージを共にしたNHK「18祭」の為に書き下ろされた曲であり、その求心力が鮮やか。もちろん、WANIMAが先導しているのではあるが、ステージからだけではなく、会場全体で曲を鳴らしている状況は素晴らしく感動的であった。

そのムードをメンバーも感じ取っているのであろう。酔いしれるようにギターを弾くKO-SHIN、しっかりとリズムを支えながら自然と笑みがこぼれるFUJI、語りかけるように言葉を紡ぐKENTA。オーディエンス越しに観る3人がとても頼もしく、美しかった。

当然のごとく、フロアからは鳴り止まないアンコールが起こり、ニヤリとさせる流れから、再びステージへと舞い戻る彼ら。このツアー恒例となっているオーディエンスからのリクエストコーナーでは予期せぬ曲が飛び込んできたのか、その場でメンバー会議が行われるというおどけた様子もあったが、しっかりと期待に応える立ち姿。

さらには地元・熊本に咲くという花をタイトルにし、“弱いままで 強くなれ”や“生き抜いてやれ”という、WANIMAが大切にするメッセージが詰まった新曲「りんどう」を披露する等、バンドの充実度もしっかりと見せつけてくれた。

この日の締めくくりとなったのは「For you」。曲が始まり、「生きとるうちに何でも好きにやれよ!」とKENTAは大声を上げ、すべてをこの場で使い果たそうと、その一音一音に力を込める。すべてのオーディエンスがステージに吸い寄せられ、何とも温かい雰囲気に包まれていった。

まさしく大団円となったが、このツアーは5月3・4日の福岡・マリンメッセ福岡公演へと続き、8月25・26日には埼玉・メットライフドーム公演にてツアーファイナルを迎える。

初となるドームでのワンマンかつ“WANIMA×7万人”という規模であることに加え、メットライフドーム史上初となるアリーナスタンディング形式。何かに迎合することなく、音楽とバンドとファンに真摯に向き合い続けているからこそ、多くの人を惹きつけて止まない彼ら。国民的ロックバンドとして、すべての愛を受け止め、それ以上の想いをステージから解き放つ勇姿を目撃したい。

Text by ヤコウリュウジ
Photo by 瀧本 JON… 行秀

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