X、音楽出版社による2.5億ドルの著作権侵害訴訟の却下請求 最高裁「コックス対ソニー」判例根拠に
X(旧Twitter)は6月11日、音楽出版社が提起した著作権侵害訴訟について、米連邦地方裁判所に却下を求める申し立てを行った。最高裁が3月に下した「コックス・コミュニケーションズ対ソニー・ミュージック・エンターテインメント」訴訟の判決により、音楽出版社側が主張し得る唯一の請求権が消滅したと主張している。
全米音楽出版社協会(NMPA)が主導する出版社連合は2023年、同プラットフォーム上で「著作権で保護された音楽の横行する著作権侵害」が行われているとしてXを提訴。担当判事は2024年、出版社側の直接的・間接的な侵害の主張を却下したが、部分的な侵害の幇助の主張については審理継続を認めた。両者は昨年に和解交渉に入るも決裂。今年1月、XはNMPAなどを相手取り、共謀によるライセンス契約強要を主張し、独占禁止法に基づき反訴した。
最高裁は今年3月「コックス事件」において、サービス提供者は、侵害を誘発した場合、またはそれに合わせたサービスを提供した場合を除き、利用者の著作権侵害について責任を負わないとの判決を全会一致で下し、これにより法的根拠が変化した。
出版社側は5月に修正訴状を提出したが、Xによれば、出版社側の侵害の幇助の主張が「教唆」の主張に改められており、著作権における教唆に関する厳格な法的基準を満たしていないと訴えている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長
3月の最高裁「ソニー・ミュージック vs. コックス判決」が、AI・ネット時代の著作権訴訟の地形を変えつつある。プロバイダは、侵害を積極的に誘発したか、それに合わせたサービスを提供した場合を除き、利用者の侵害に責任を負わない——この基準が、音楽出版社とXの争いに直接響いた。音楽出版社連合(NMPA主導)は2023年、X上の音楽の無断使用が横行しているとして提訴したが、Xは「コックス判決で出版社の唯一の請求根拠が消えた」と却下を申し立てた。出版社側は5月、主張を「幇助」から「教唆」へ組み替えて巻き返しを図ったが、Xは「教唆の厳格な基準を満たさない」と反論する。プラットフォームが利用者の行為にどこまで責任を負うか——その線引きが、一つの最高裁判決を起点に大きく動き始めたことが読み取れる。
ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)
フリーランスのライター/エディター。立教大学を卒業後、国外(ロンドン/シドニー/トロント)で日系メディアやPR会社に勤務した後、帰国。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や執筆、編集、撮影などを行う。
- 裁判所書類
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