Spotifyのダニエル・エクCEOが考える「音楽のコア・トレンド」3つ

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Spotifyのダニエル・エクCEOは、2024年第1四半期(1〜3月)の決算説明会で、音楽に関するコア・トレンドを語った。「短編動画と長編動画」と「音楽AI」、「グローバル音楽エコシステム」の3つを挙げ、その全てに自社が取り組んでいることを強調した。音楽業界ニュースサイトのHypebotが4月23日伝えた。

短編動画と長編動画については、「短編の音楽コンテンツはわれわれの大きな焦点だ」とした上で、「2024年には音楽面でより多くの動画が製品に組み込まれるだろう」と指摘。「アーティストが短編動画を活用したストーリーテリングや、ファンに向けたPre-save(プレセーブ、配信前のアルバムやシングルを事前に予約できる機能)すべき新譜の発表を行うだろう」と話した。

Spotifyは現在、YouTubeを意識したミュージックビデオ再生機能を英国、ドイツ、イタリア、オランダ、ポーランド、スウェーデン、ブラジル、コロンビア、フィリピン、インドネシア、ケニアの世界11市場で展開している。また、TikTokに似た新機能を有料会員向けに公開するとウォール・ストリート・ジャーナルが4月11日に伝えた。

音楽AIについては「もちろん、音楽分野でより多くのAI製品が登場するだろう」と述べるにとどめ、新情報は明かさなかった。同社は現在、プロンプト・ベース(自然言語入力)のAIを活用したプレイリスト作成ツールをテストしている。

グローバル音楽エコシステムについては、「いまだかつてないほどの、グローバルな音楽エコシステムを目にすることになるだろう」との見方を示した。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「Spotiyの動向を15年間ウォッチしてきたが、トレンドの新技術を買収・開発することに果敢な企業だ。その中には音声共有機能など、モデルとなったサービスの衰退とともに失敗に終わったものもあるが、レコメンデーション・エンジンのThe Echo Nest買収など根幹機能として残ったものも多い。成功した新機能の共通項は、人類の生活に定着するテクノロジーやサービスがモデルになっていることだ。今回はYouTube、TikTok、ChatGPTを意識したもので、グローバルな音楽エコシステムに関してはSpotifyがまさしくリードしてきた潮流である」

 

ライター:坂本 泉(Izumi Sakamoto)

フリーランスのライター/エディター/フォトジャーナリスト。日本の大学を卒業後、国外で日系メディアやPR会社に勤務。イベントレポートやインタビューを中心に、カルチャーから経済まで幅広い分野の取材や記事執筆、編集、撮影などを行う。

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