FMPJ・ACPCが経営者向け労務管理セミナーを開催、エンタメ業界が取り組むべき「働き方改革」とは

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FMPJ・ACPCが経営者向け労務管理セミナー

4月17日、日本音楽制作者連盟とコンサートプロモーターズ協会が、経営者および総務・人事担当者向けに「経営者のための労務管理セミナー」を開催した。合同開催は今回が2回目となり、音楽関連企業の代表者ら約100名が出席した。

先日、ユニバーサルミュージックが契約社員を正社員化する方針であることを明らかにしたが、同社だけでなく、エイベックスも新人事制度を導入し、大手プロダクションも残業時間を減らし休日を取得させるなど、徐々にではあるが確実に「エンタメ業界の働き方」を改革する流れが生まれつつある。

同セミナーの開催にあたり、日本音楽制作者連盟 野村達矢氏は、「音楽業界は好きで働いているところもあるので『音楽業界は別だ』と思いたいが、そうも言っていられない。特殊な音楽業界の働き方が“働き方改革”に見合うものなのかを含めて、みなさんでこの問題を共有していきたい」と語った。

企画・コーディネートを担当した石井由里氏(ユリコンサルティング合同会社 代表)は、東芝EMI、ユニバーサルミュージックにてレーベル業務に携わり、現在は組織コンサルティング等を行っている。

石井氏は経営者らが抱えている音楽業界特有の課題について事前にヒアリングを行い、講師を務めたリスク管理の専門家である井上泉氏(ジャパン・リスク・ソリューション 代表取締役社長)と共有した上で、音楽業界の特性をふまえた労務管理について講演が行われた。

また石井氏は、「人材が集まらない、育たないという声を聞く機会が多くなってきました。若い世代にも働きたいと思ってもらえるような、人を大事にする業界だと認識されることを願っています。働き方改革はピンチではなくチャンスだと思っています」と、セミナーを通してより理解を深めていきたいと語った。

セミナーでは、過去に起きた過重労働による事例や、労働時間の基本枠組み、プロデューサー・ディレクター業務も含まれる「みなし労働時間制」や「フレックスタイム制」の正しい認識について説明。

井上氏は、これから経営者に求められる労務管理の理念として、「会社は効率の追求や競争に勝つことを意識するのは当然ですが、併せて社会にとって自分の会社がどういう存在なのか、社員・人間を大事にする会社なのか、『効率性原理』『競争性原理』『社会性原理』『人間性原理』の4大原理のバランスを常に考えながら多様な労働形態に対応していってほしい」と語り、セミナーを総括した。

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