慶應義塾大学、伝統芸能データベース「Global Jukebox」公開 1,026民族を代表する5,776件の音声記録がインタラクティブに利用可能

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慶應義塾大学は11月10日、世界中の音楽と伝統芸能の音声記録を検索することができるオンラインツール「Global Jukebox」を一般と研究者向けに公開した。

このGlobal Jukeboxは、Cultural Equity協会所属のアナ L.C.ウッド博士、慶應義塾大学環境情報学部 パトリック・サベジ准教授のほか、同大学院 政策・メディア研究科 2021年度特任教授 サム・パスモア氏と同大学院 政策・メディア研究科修士課程 大穀英雄氏など17名からなる研究チームの成果として、オープンアクセスのジャーナル誌『PLOS ONE』にも現地時間11月2日に掲載された。

Global Jukeboxは1,026民族の伝統的な楽曲を含むデータセットの上に成り立っている。そのうちの多くは、民族音楽学者アラン・ロマックス氏によって収集された。ロマックス氏は、それぞれの曲を、歌手の数、声色、リズムやメロディーなどの特徴によってカテゴリー化している。現在、Global Jukeboxのデータセットに含まれる5,776 曲は約37種類の特徴に分けられている。

2017年にGlobal Jukeboxの暫定版がリリースされ、現在、同データベースは誰にでもダウンロードできるようになっています。今回の発表に先立ち、ウッド博士をはじめとした研究者たちはデータの正確性を保証するため、楽曲の種別や特徴などを含めて、5,776曲のデータを見直し、より精度の高いものにした。また、呼吸方法や楽器情報など音声記録に関するその他の特徴や、会話の様式のような非音楽的なデータなどを分類した補助的なデータセットもリリースした。

本研究チームは、Global Jukeboxがほかの研究者に刺激を与え、音楽の伝統や文化の進化に関する多様な異文化調査を可能にすることを期待するとしている。なお、全ての楽曲は著作権とその文化継承者の許す範囲内のみ利用可能となっている。

今後、本研究チームはデータベースの継続的なメンテナンスを計画。ポリネシアのような、現在データではあまり取り上げられていない民族や地域からの音声記録を追加することも検討しているとのこと。

アナ L.C.ウッド博士コメント

人々にこのデータベースにアクセスしてもらうことが非常に重要です。私の父は、人々にすでに伝承されていない先人の文化に触れることがもっとも大事と考え、実際に曲を聞いて「偉大な伝統」の中にある美しさと歴史の足跡を見つけてほしいと願っていました。Global Jukebox はテクニカルなものである一方、誰もが探求できる場所ともなっています。私たち Cultural Equity 協会の仕事は、もっとたくさんの人々に関わってもらう方法を考えることです。

パトリック・サベジ准教授コメント

文化の多様性を理解することに関心のある研究者、伝統を守りたいオリジナルコミュニティのメンバー、世界中の音楽の美しさと多様性についてもっと知りたい一般の人々など、この貴重な音声記録とそれに付随する科学的な価値を、世界中の人々が自由に使えるようにすることに貢献できて光栄です。

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