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志麻(浦島坂田船) “Alice”をテーマに脚本や演出を自ら手がけたホールツアー、パシフィコ横浜公演をレポート

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志麻

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SHIMA LIVE TOUR 2026 色なき国のアリス ~Alice in colorless wonderland~
2026.5.31 パシフィコ横浜 国立大ホール

音楽ユニット・浦島坂田船のメンバーである志麻が、ソロとしては初となるホールツアー『SHIMA LIVE TOUR 2026 色なき国のアリス ~Alice in colorless wonderland~』を、地元・高知を含め全国5都市で開催。“Alice”をテーマに脚本や演出を志麻自らが手がけ、ホールというシチュエーションをいかし細部までこだわり抜いたコンセプチュアルでシアトリカルなショウは、目にも耳にもあまりに鮮やかだった。ここでは、2026年5月31日に神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールにて行われた最終公演の模様をお伝えする。

バックステージ

バックステージ

色彩豊かだった国から色が失われ、アリス(CV:鬼頭明里)という名の少女は記憶を失ってしまったーー。そんな波乱のオープニング映像で幕を開けたステージ。大きなトランプやティーポット&カップを配した背景セット、白黒のチェッカーフロアと、“色なき国のアリス”の世界を再現したステージにまず現れたのは、志麻。キービジュアルそのままの出で立ちで彼が演じるのは、この物語のストーリーテラーであるチェシャ猫だ。静まり返った中で、黒頭巾を目深にかぶりアリス=観客に語りかけるモノローグは、声を武器に表現活動をしてきた彼だからこその説得力があり、まさに真骨頂。舞台演劇のような幕開けは、いつものライブとはまるで異なる静けさといい意味での緊張感をたたえていた。

志麻

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「さあ、私と一緒に行こう。色を取り戻す旅の始まりだ」という声で導いた1曲目は、5月1日に発表したアルバム『Alice』の1曲目でもある「Alice of Nothing」。それまでステージで倒れていたダンサーたちが息を吹き返し、志麻が歌とダンスで表すのは突然色を失った世界の混沌だ。続く「禁断少女プラスA」では荒々しいがなり声から澄んだファルセットまで自在に操り、歌詞に合わせトランプを手にしたり、白いドレスをまとったダンサーとシンクロして毒リンゴに口を寄せたり。黒頭巾は目深にかぶったままで、物語にぐいぐい引き込んでいく。

幕間映像で旅をするアリスとチェシャ猫が帽子屋(CV:柳 晃平)と出会ったのち、深い喪失感と<君>への思慕を歌にのせる「レーヴ」へ。ステージうしろのスクリーンに時計の文字盤が映し出された「最適解」、ダンスによりいっそう力の入った「DA DA DICE」と、運命に抗うように熱を帯びていくパフォーマンスに、どうしたって胸が高鳴る。

志麻

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持っている時計で時空を操ることができる白ウサギ(CV:高柳知葉)と出会う幕間映像をはさみ、再びステージに現れた志麻は見事なパントマイム、セリフなしのサイレントアクトを披露。ステージのあちこちで鳴るアラーム音をコミカルな動きを交えて止めていく彼だったが、今度はオルゴールの音色が客席で響き始め……その音を追い、なんと1階客席へ! 木魚の音を追って客席通路を進むサプライズファンサにも、志麻リス(志麻ファンの呼称)への愛を感じずにはいられない。「Run Rabbit Run」では、ピンクライトの下、ダイナミックなダンスとアクロバティックなジャンプで沸かせた志麻。身体能力の高さにも、あらためて驚かされる。

志麻

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色なき国を支配するハートの女王(CV:高柳知葉/白ウサギと一人二役)と出会い、女王を“悪”として正義の剣を振り下ろしたアリス。“正義”とはなにかを問い、葛藤する幕間映像から「The Last Croquet」へ。時代によって、立場によっていとも簡単に姿を変える“正義”。“正義”の名の下にある不条理。ファンタジーの中に込められた風刺が、観る者の価値観さえ揺さぶっていく。

自分の “正義”は本当に正しかったのだろうか。そんな疑念が芽生え、闇へと堕ちそうになるアリスの黒い心情をまるで呪文のようなラップで表した「ウィキアリティ」。儚くも美しい歌声を響かせた「bouquet」。やはり、志麻はとことん表現者だ。

志麻

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自らの行いに対する罪悪感、灰色のままの世界で苦悩するアリス。「この選択が世界を色づかせることになるのかも」という一筋の光明と、ステージに現れたチェシャ猫=志麻の「アリスのおかした罪は消えない。でも、その続きを描くのはアリス自身」という言葉が、彼女に救いの手を差し伸べる。緑、紫、赤、黄。ステージに差したのは、浦島坂田船のメンバーカラーだ。「最初からきみの色だっただけだよ。おかえり、アリス」という言葉をきっかけに、志麻リスが全力でコールした「Mermaid」。<選んだこの道を正解に変えろ>というフレーズが背中を押す「MAZE」。ファンタジックな世界観を貫いているのは、メンバーとともにどんな荒波も乗り越えてきた志麻の人生哲学だ。

志麻

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逃げなかった、考えるのをやめなかったことで、色が戻った世界。帽子屋の準備していたお茶会が始まろうとする幕間映像から、「お茶会はワンダーランドdeドリーム」へ。ステージに運ばれたのは、お茶会を演出するテーブルやイス、スイーツを模した小道具。志麻とダンサーの楽しく賑やかなパフォーマンス、続く「FEATURE COLORS」での「あらためておかえり、アリス! きみのおかげで世界に色が戻ったよ!」という言葉に、大歓声が上がる。

志麻

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そして、「完璧じゃない世界で生きていく」と決意したアリス。しかし、その後「これだから人間はおもしろい」と毒リンゴを手に意味ありげな笑みを見せたチェシャ猫。終わりの先の解釈は受け手それぞれに委ねるという物語の閉じ方が残したのは、深い余韻だ。カーテンコールのごとく、登場した志麻を迎えたのは万雷の拍手。約半年かけ、特に試行錯誤や葛藤もしながら準備してきたという、物語仕立ての初のホールツアーで示したのは、“音楽劇”という新たな表現の可能性だった。

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タオルを手にした志麻と志麻リスのコール&レスポンスに、愛と絆がにじんだ「Killer Killer My Love」。「志麻リス大好きだよ! 出会ってくれてありがとう!」と志麻が志麻リスに大告白した「志季咲きの花」。扇情的な歌声とダンスで志麻リスのドキドキを加速させた「ダスティピンク」。“ガオガオダンス”やレーザーライトと完全シンクロしたダンスなど高揚感に満ちた「No.17」。第2部的な後半戦は、すさまじい盛り上がりを見せた。

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「初のホールツアー、夢のような空間であり紛れもない現実でした。こうして共有できた時間が、明日からのみんなの人生の糧になったらいいな、と思っています」

そう志麻リスに告げて、「Not a dream」へ。夢の続きを一緒に見よう。そこにあったのは、確かな約束と希望だ。

サングラスをかけたゴキゲンな志麻とビーチボールや浮き輪を手にしたダンサーが一足早く夏へといざなってくれた「アロハ!サマーバケーション」でスタートしたアンコール。志麻が胸の内を明かした。

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「喜怒哀楽やたくさんの時間・空間を共有してきた志麻リスの存在があればこそ、ツアーを完走できました。志麻リスたちがいてくれるおかげで、これから先も挑戦していけます! また、どこかで会いましょう!」

ていねいに心を込めて歌った「believe」。涙をこらえながら歌声と想いを届けた「愛してもいいかい?」。そこにあったのは、幸せな一体感だった。志麻リスとの愛を育みながら、志麻はこれからも新しい扉を開いていく。そう、確信している。

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文=杉江優花
撮影=堀卓朗[ELENORE]

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「Musicman大学」は世界の音楽業界の最新トピックスを解説。講師は『音楽が未来を連れてくる』の著者、Musicman編集長・榎本幹朗。「Talk&Songs」は月間500組ものアーティストニュースを担当するKentaが選ぶ、今聴くべき楽曲と業界人必聴のバズった曲を解説。

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