阿部真央デビュー15周年イヤー突入、初のビルボードライブ東京ワンマンのレポートが到着

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撮影:後藤壮太郎

1月21日にデビュー15周年のアニバーサリーイヤーに突入したシンガーソングライター阿部真央が、自身の34歳のバースデーである1月24日にビルボードライブ東京で開催した「15th Anniversary Abe Mao Billboard Live Tour 2024」東京公演のオフィシャルライブレポートが到着した。

ビルボードライブ東京公演が行われた1月24日は阿部真央の誕生日。「おめでとう!」というお祝いの言葉が飛び交う会場で彼女は、表情豊かなボーカル、親密な雰囲気のパフォーマンスを見せてくれた。

バンドメンバーの和田建一郎(AG)、ミトカツユキ(Key,Pf)、ぬましょう(Per)に続き、水色&ホワイトの衣装(新曲「Keep Your Fire Burning」のMVでも着ていたお気に入りの衣装だとか)に身を包んだ阿部真央がステージに登場。

「今日は1/24、ビルボードツアー初日。そして私の誕生日に遊びに来てくださり、本当にありがとうございます! 力の限り、みなさんに向けて歌っていきたいと思います」と挨拶すると、会場は大きな拍手で包まれた。

フィンガースナップによる4カウントからはじまったのは、「母である為に」。スタンドマイクの前に立った彼女は、母親になったときの覚悟、子供に対する大きな愛情を込めたこの曲を丁寧に紡いでいく。アコギを弾きながら披露されたのは、「I wanna see you」。普段のライブでは派手に盛り上がる楽曲だが、この日はアコースティック・アレンジを施し、いつもとは違った表情を感じることができた。手拍子しながら体を揺らし、コーラスパートを合唱するオーディエンスも楽しそうだ。

誕生日を祝って観客と乾杯した後は、「Pharmacy」。じつは声のコンディションが今一つだったという彼女だが、2ndセットでは伸びやかな高音がかなり戻り、気持ちよさそうな笑顔を見せた。さらに、恋に落ちた瞬間を抒情的に描いた「天使はいたんだ」、“貴方が好きな私”を演じ続ける女性を主人公にした「貴方が好きな私」を披露。恋愛の切なさや痛みをリアルに伝える阿部真央のラブソングは、やはり格別だ。

Aimerへの提供曲であり、後にセルフカバーした「words」も心に残った。アカペラによる「「愛してる」とは なんて無力」から始まり、ピアノと歌によるシンプルな編成によって、人を愛することに伴う悲しさ、憎しみ、切なさを歌い上げる。陰影を活かしたライティングも、楽曲の雰囲気をしっかりと際立たせていた。

ぬましょうのオーシャンドラムによる波の音も印象的だった「Sailing」を挟み、「I’ve Got the Power」へ。昨年春にそれまで在籍していた所属事務所から独立し、7月にプライベートレーベルKAYAGAKI RECORDSを設立した彼女。「I’ve Got the Power」は、そういう状況のなか、“終わりと始まり”をテーマに制作された楽曲だ。この日はピアノ、アコギ、パーカッションのオーガニックなアレンジとともに、楽曲が持つ力強さ、新たな世界に進もうとする意思を真っ直ぐに表現。会場全体を大きな感動で包み込んだ。

「誕生日にこうしてみなさんと会えて、いちばんのプレゼントだなと思います」と改めて感謝の気持ちを伝えた阿部真央。「今日はビルボードに合う曲をセットリストに選んできたから、“ワーッ”ってなれる曲がなかったでしょ? 1曲だけあるので、聴いてください!」と「ロンリー」を披露すると、オーディエンスは手拍子とシンガロングで応える。ステージの端まで移動し、手を振ったり、両手でハートマークを送る姿も印象的。こういう親密な雰囲気もまた、彼女のライブの魅力だ。

軽快でポジティブな感情が伝わる「それぞれ歩き出そう」をタンバリンを叩きながら歌い、本編は終了。“あべまコール”に導かれて再びステージに上がった彼女は、「最後にちゃんとマジメな話をするね」と観客に語り掛けた。

「ここ数年の私の変遷を知ってくれてるみなさんだったら、“15周年おめでとう”“ありがとう”をステージで言い合えることの奇跡をわかってくれていると思うし、私自身もそれをすごく感じています。諦めずに走ってきてよかったなって。15周年はじまりましたが、この先、もっとみんなの力を借りないと、おそらく難しいだろうなということも考えてます。15周年の1年間は、新体制になってからの勝負の1年。その始まりの日に来てくれて、素敵な誕生日にしていただき、本当にありがとうございました!」

ラストは「Keep Your Fire Burning」(TVアニメ「望まぬ不死の冒険者」エンディングテーマ)。「みんなの心のなかの火をどうか絶やさずにいてほしい」という願いを込めた楽曲を放ち、ライブはエンディングを迎えた。(終演後のSEは、ライブでしか披露されない名曲「母の唄」のインスト音源でした)

15周年を記念した新たな2つのワンマンツアーも決定。8月から9月にかけては全国の小劇場、映画館、能楽堂など4か所を巡るソロツアー「15th Anniversary Abe Mao Solo Live Tour 2024」、そして10月には5都市のZeppを回る「15th Anniversary Abe Mao Zepp Live Tour 2024」が開催される。また15周年特設サイトも開設。アニバーサリーイヤーを飾るトピックにぜひ注目してほしい。

文:森朋之

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