玉置浩二、“故郷BAND”との最新ソロツアー最終公演をWOWOWで独占放送・配信

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玉置浩二

玉置浩二が、“故郷BAND”と共に全国各地を訪れた最新ソロツアー「Concert Tour 2023 故郷BAND ~田園~」の中から、東京・東京国際フォーラム ホールAでの最終公演の模様を1月1日21:00よりWOWOWで独占放送・配信する。

2022年、ソロデビュー35周年・安全地帯デビュー40周年のダブルアニバーサリーを新曲の発表やベストアルバムのリリース、精力的なライブ活動で駆け抜けた玉置浩二。明けて2023年、「歌うために生きる」彼は恒例のオーケストラとの共演コンサートで幕を開け、8月から11月にかけて32か所36公演にもおよぶ全国ソロツアーに臨んだ。

この夏大きな話題となったのは、ツアー開始直前に発表されたバンドの構成だ。昨年までの小編成による“故郷楽団”から一転、キーボード・ギター・チェロ・パーカッション・ベース・ドラムスにコーラスとホーンも加わった“故郷BAND”へ。

 記念碑的な前年の活動を経て、骨太な布陣をバックに彼が鳴らす現在進行形のサウンドに、熱い期待と注目が集まった。

ツアー最終日となる11月19日、東京国際フォーラム ホールA。詰め掛けた観衆の熱気が、寒さを吹き飛ばす。場内が暗転し、壇上が照らし出される。オープニングは「CAFE JAPAN」。スケールの大きなアンサンブルが、冒頭から実にグルーヴィーだ。

 2曲目の「Honeybee」では、舞台上手に用意されたドラムセットに座り、ドラムを叩きながら歌う玉置。ツインドラムでのファンキーなセッションから、終盤にはセンターに戻って渾身のギターソロを披露、秋山浩徳のギターへと繋いでいく。続いて、中北裕子のパーカッション、佐野聡のトロンボーンと武嶋聡のサキソフォーンもフィーチャーされる。妖艶かつゴージャス。極上の音楽空間が創り上げられていく。

 軽快なリズムが心地好いアンセム「ルーキー」をはさんで、安全地帯の「愛を鳴らせ」へ。歓びと哀しみが螺旋のように連なる人生。“渦中”を生き抜くために、玉置は心の限り歌う。瑞光の鐘が余韻と共に鳴り響いた。

 そして、キーボードのトオミヨウがどこまでも切ないフレーズを奏でる。1984年、安全地帯6枚目の両A面シングルとして発表された「置き手紙」だ。当時から名曲の誉れ高いラブソングに心が打ち震える。

続く「次男坊」では、母親への愛情と感謝の気持ちが真っ直ぐに描かれる。優れたメロディーには優れた詞が寄り添う。作曲・玉置浩二、作詞・須藤晃による普遍性の高いナンバーが誰もの“生”を癒し、励ます。

 前半最後の曲は安全地帯の「黄昏はまだ遠く」。年月を重ねるにつれ、人は失うものが増えていく。それでも、夢や希望を探す旅を続けて行こう。指先をそっとなぞるようなロビン・デュプイのチェロの音色が、とても優しかった。

 インターミッションを挟み、鳥のさえずりが重なり合う。そして、“故郷BAND”によるシンフォニックな誘(いざな)いが、誰もの心にある原風景を呼び覚ます。

 静かに始まった千ヶ崎学のベースソロが、やがて熱を帯びていく。後半1曲目は玉置流ブルース「△の月」だ。静かな立ち上がりでそれぞれの“鼓動”を確認する。

 実に9年振りのツアー参加となったコーラスの平岡恵子とのデュエットで魅せた「君だけを」から「サーチライト」へ。“至極の歌”に万雷の拍手が注がれる。

 いよいよ、コンサートも終盤。それぞれの楽器が、ラストスパートを告げる。披露されたのは「正義の味方」だ。聴衆が一斉に立ち上がり、そして踊(躍)る。ありったけのエールに、会場全体が熱い歓声(感性)で応える。

 祝祭の狼煙のような原治武の力強いドラムソロから始まった「JUNK LAND」では、玉置とひとりひとりの聴き手が魂を交感するコール&レスポンス。メンバー紹介を経て、客電の灯りも全開となった「田園」では、全員がひとつになっての大合唱だ。

 共に、前へ。それぞれの“路”を進むことを分かち合う。そこには、生きることへの確かな肯定があった。

 最後に歌われたのは「メロディー」だった。玉置のアコースティックギターの弾き語りから始まり、バンドの演奏が重なっていくドラマティックな展開。ラストはマイクを離し、生声で歌う玉置。かけがえのない歌に身を委ねるオーディエンス。この場にいるすべての者が、輝くような笑顔だった。

 満場の五千人と歌を通じて直に触れ合おうとする彼の姿は、ただただ圧巻だった。すべての曲を歌い終えると、彼は感極まった表情でステージを後にした。言葉は要らない。その想いは、確かに伝わった。

 今回のツアーでは、ミュージシャンとしてのリミッターを開放し、“盟友”たちのサポートを得てまた新たな新境地を切り拓いた玉置浩二。全身全霊を歌に捧げるからこそ成し得る、音楽の奇跡がそこにあった。

 失望や絶望が希望を塗りつぶしてしまいそうなこの時代。誰もが息苦しさを感じながら日常を生きている。だからこそ、玉置は音楽で希望の灯を燈し続ける。自らの心情をことさらに語ることのない彼だが、その歌は雄弁だ。これからもずっと、彼は歌い続ける。かけがえのない愛と平和のために。

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