@ onefive、結成4年目にして初の「有観客声出しOKライブ」で夢の“武道館”を約束

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Photo:Yukitaka Amemiya

4月9日東京・EX THEATER ROPPONGIにて「@onefive LIVE2023 -ChancexChange-」が行われた。今回のライブはただのライブではなく、2019年に活動を開始した@onefiveにとって、初の声出し“アリ”という待望のワンマンライブとなった。@onefiveは平成元年に結成。活動開始とともにコロナ禍に見舞われ、予定していたイベントやライブは軒並み中止。それでも彼女たちはひたむきに前を向き、その時勢に合わせた「無観客配信ライブ」や「声出しナシの有観客ライブ」をおこない成長を重ねてきた。

そういった着実な活動が昨年11月エイベックスからのメジャーデビューに繋がり、彼女たちが出演し主題歌も担当したTVドラマ「推しが武道館にいってくれたら死ぬ(以下、推し武道)」にも繋がったと言える。つまり、今回の「有観客の声出しOKのライブ」は結成4年目にして、やっと実を結んだ待望の果実といっても過言ではないのだ。

だが、その現状を喜びつつも、その先を見つめているのが@onefiveの強さだ。今回のライブでは、現在の彼女たちの夢であり、目標でもある「ワールドツアー」のファイナルを「日本武道館でおこない」、その回想として今回のライブを思い出すというモノローグの演出がおこなわれた。いま、この瞬間の噛み締め、いかに次へと繋げて新しい道を提示するのか。彼女たちがいままで以上に強い意思や決意を示したライブともいえるだろう。

満員の会場は開演前から人いきれがする熱気が充満した状態。開演時間の17:30が近づくと観客席から大きなクラップが自然発生し、声援もあがっていく。暗転とともに始まる“武道館”のモノローグでどよめきにも似た歓声がおこり、それに呼応するかのようにステージにメンバーが登場。メジャーデビュー曲でもある「未来図」が始まる。歌詞のひとつひとつ、リズムとメロディの流れ、一気に人を引き込む圧倒的なダンス。そのすべてが@onefiveが3年間実現できなかった最高のステージとして組み上がり、一気に会場の一体感があがっていく。

@onefive最大の魅力は歌とダンスだが、ワンマンライブではライティングをはじめとするステージ演出もその魅力を引き出す。2曲目「まだ見ぬ世界へ」では晴れ晴れしく、続く「Underground」ではソリッドに@onefiveを彩っていく光の中でメンバーのパフォーマンスは大きな歓声やクラップに応えるように迫力を増し、さらなら歓声とクラップを生み出す。観客とステージとのコール・アンド・レスポンスは今回が初めてとは思えないほど完璧であり、いかにお互いがこの状況を待ち望み、楽しみにしていたのかがわかるほどだった。だが、それだけで終わらないのが@onefiveの末恐ろしいところ。しっとりと歌う「Just for you」では同じく静かな曲である「缶コーヒーとチョコレートパン」をミックスし、観客に聴き入らせつつもサプライズを仕込ませる。静と動。硬と柔。そして、メンバー4人とも高校を卒業し、各個人としても新たなスタートを切った今年。髪色や、これまでにない衣装をまとうことで、それぞれの経験値に新たな側面が打ち出されて、より輪郭が増した@onefiveの表現力がステージで放たれ、繰り広げられていく。

そして、メジャーデビュー以降初のCDシングルである劇場版『推し武道』の主題歌である「Chance」で会場全体のボルテージは一気にあがり、最後まで大きな歓声と拍手は鳴り止まずに新曲3曲とWアンコールを含めて13曲を完璧なまで披露した。

これまでの4年間培ってきた経験をバネに、“声援”という大きな力を手に入れた@onefive。このライブで示した未来図を実現する力はもう備わってきているに違いない。

Text:林幸生

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