大貫妙子、恒例の年末公演を人見記念講堂で開催 バンド編成でのコンサートは3年半ぶり

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「大貫妙子 コンサート 2022」東京・昭和女子大学人見記念講堂

大貫妙子の恒例の年末コンサートが12月3日に東京・昭和女子大学人見記念講堂で開催された。バンド編成でのコンサートは3年半ぶりとなる。

この日に集まったのは大貫のパーマネント・バンドでもある小倉博和(G)、鈴木正人(Bass)、沼澤尚(Drums)、林立夫(Drums)、フェビアン・レザ・パネ(Acoustic Piano)、森俊之(Key)、そして今年発表された大貫の新曲をアレンジした網守将平(Key)を加えた7人編成のバンド・メンバー。

17:41過ぎ、場内の客電が落とされ大貫が客席に向かって両手を振りながら登場。「皆さまにお会い出来て今日は嬉しいです」と一言、挨拶。ウッドベースにアコースティック・ギターをフィーチャーしたジャジィなアレンジで「横顔」が演奏される。落ち着いたムードの中、静かにコンサートは始まった。

この夜に演奏されたのは2ndアルバムの「SUNSHOWER(1977)」「MIGNONNE(1978)」「cliche(1982)」や「LUCY(1997)」といった70~90年代にリリースしたアルバムからの楽曲が中心。シンセサイザー等の電子楽器の多重録音で制作されたアルバムもあり、コンサートでの生楽器での演奏は再現が難しかった曲も多い。このコンサートで大貫が試みたのはマルチテープから当時の音源トラックを抜き出し、生のバンドと共演すること。30~40年以上前に坂本龍一が弾いたキーボードやプログラミングされたサウンド、また当時大貫自身が歌ったコーラス・パートに合わせて、大貫とバンドが生演奏で組み合うという時空を超えた共演が実現。オーディエンスにとっては、あの頃のサウンドと今の音が組み合わされる贅沢な環境に大喜び。奇跡の共演に惜しみない拍手を送った。

もちろんシークェンスとともに演奏する楽曲だけでなく、パーマネント・バンドだけで演奏された楽曲もある。やはり注目すべきは林立夫と沼澤尚のツイン・ドラム編成。ロック系のライブ等では、音圧を増幅させるためにツイン・ドラムを導入することはある。ここでのふたりは、互いに干渉し合うことなく別々のリズムを刻み、大貫のヴォーカルに彩りを添える。他のメンバーも名うてのミュージシャン揃い。70年代当時、クロス・オーヴァーと呼ばれたフュージョン・サウンドや、ブラックミュージック・エッセンス溢れるグルーヴ感溢れる演奏を披露し客席を沸かせる。またアコースティック・ピアノ(パネ)、エレクトリック・ピアノ+オルガン(森)、シンセサイザー(網守)と、それぞれの楽器を操るキーボーディスト3人は、その卓越した演奏力でシークェンスを使わずとも多彩な表情を見せることに成功していた。

大貫妙子のバンド編成でのコンサートは、まさかの時空を超えた共演を織り交ぜ約2時間にわたって行われた。来春1月には、この日と同じメンバーで約4年半振りの大阪公演が開催される。

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