@ onefive、初の有観客ライブを完走 自分たちで作り出す“@ onefive”のカタチ

アーティスト

写真:AZUSA TAKADA

2022年2月20日の大阪・梅田クラブクアトロを皮切りに、初の有観客ライブ“@onefive 1st LIVE -1518-”をおこなっていた@onefiveが3月6日に渋谷クラブクアトロで千秋楽を迎えた。

@onefiveは、2019年の結成から間もなくコロナ禍にみまわれ、楽曲やミュージックビデオのリリース、様々な媒体への露出などをおこなう一方で、有観客ライブの延期や無観客ライブ配信が続き、この2022年まで有観客でのライブは開催できずにいた。

まさに、待ちに待った1stライブ。とはいえ、いまだ続くコロナ禍のなかで、やっと手にした全4公演は、これまでのすべてをぶつけるようでありつつも、まだまだ伸びしろを感じさせる表現の可能性に満ちていた。

まず、1曲目の「Lalala Lucky」で@onefiveは一気に会場全体を引き寄せたあと、「まだ見ぬ世界」「Pinky Promise」と続けざまに歌とダンスが織りなす魅力を観客に全開で届ける。観客席は、それに呼応するように声が出せないぶん、身体をゆすり、手を上げ、クラップを送り、相乗効果で会場の熱は高まっていく。

そして、MCを挟んで披露された「缶コーヒーとチョコレートパン」。それまでの歌とダンスで魅せる流れから一転、SOYOのピアノ伴奏にあわせてしっとりと歌い上げていく姿は、その歌詞が織りなす世界を一気に広げていく。続く自分たちが振り付けをおこなった「Just for you」で、アンサンブルとダンスがミックスされていく姿は、歌とダンスが高いクオリティの同一線上にある@onefiveだからこそできる多面性といえた。

そういった多面性は楽曲だけではない。メンバー自身がセルフプロデュースをおこなう、現在の@onefiveの土台となった「Underground」、ダンスと楽曲の世界観がマッチングした「雫」を披露し、ただ歌とダンスだけで魅せるわけではない@onefiveの奥深さを提示する。そして披露される「Let Me Go」。これは@onefiveならではのステージだった。

「Let Me Go」は@onefiveがボーカルをとらずに、4人がダンスのみでその世界を表現する。しかも、このステージングはメンバーであるKANOが振り付けだけでなく、ライティングや立ち位置などすべてをプロデュース。メンバーの個性や@onefiveの「いま」を知り、これから目指すものを模索する彼女だからこそ作り上げることができた珠玉の時間だ。KANO自身が今後もどういったプロデュースをおこない、それに触発されたメンバーがどういったレスポンスを返すのかも楽しみになってくる。

そういった意味で@onefiveは可能性の塊と言っていい。SOYOのソリッドでありつつも感じられる安定感。そこにKANOが勢いを作り出し、MOMOがステージのグルーヴを生み出す。それをひとつにまとめあげていくGUMI。そういった個性的な面があるからこそ、4人が集まると、ときにクールに、ときにキュートにダンスと歌の表情が変わっていく。その表現の幅は圧倒的な存在感となってステージを作りあげていく。ポテンシャルの高さは、もはやアリーナでの公演も夢ではないと感じるほどだ。

そして迎えたラスト3曲。ここで@onefiveの真骨頂とも言える出来事がおこる。この日2回目(!)となった「Lalala Lucky」は、1曲目に披露したからこそ成立する楽しさだった。観客と振り付けを共有することで、@onefiveが内包する面白さや楽しさを会場全体で感じられるパーティーチューンへ昇華されたし、続く「BBB」は観客と笑顔を共有するキラーチューンへと変貌を遂げた。本当にはじめての有観客ライブなのかと思うほど、これだけ楽曲の見方や魅力が引き出されたのは@onefiveのメンバーの人柄とパフォーマンスの高さゆえだろう。「観客が声を出せないコロナ禍だからこそ」ステージと客席がダンスや振り付けを通じて一体化できることを示したし、いま有観客のライブができている喜びに溢れる空間は、最初から最後まで@onefiveだからこそできるライブであったといえる。最後を飾る「1518」が終わったあとに長く続く、鳴り止まない万雷の拍手が、その証拠といえるだろう。

これまで、観客誰もの想像を超えるパフォーマンスの素晴らしさを書いてきたが、MCでは、まだ高校生らしさがありつつも、まっすぐに思いを伝えようとする言葉の数々が印象的であった。その魅力的なまでの奇跡のアンバランスさは、いまだからこそ。そういった味わいを含め、その一挙手一投足が3月13日23:59までアーカイブ配信で見ることができる。

いまじゃないと見ることのできない@onefiveの、いまだからこそできる最高のライブの形。絶対に見ておいて損はない。

Text:林幸生

セットリスト

M1 Lalala Lucky
M2 まだ見ぬ世界
M3 Pinky Promise
-MC-
M4 缶コーヒーとチョコレートパン
M5 Just for you
-MC-
M6 Underground
M7 雫
M8 Let Me Go(辻村有記)
-MC-
M9 Lalala Lucky
M10 BBB
-MC-
M11 1518

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