CHAI、東名阪対バンツアー「冬のCHAIまつり 2022」完遂 ファイナルの速報ライブレポート到着

アーティスト

写真:Yoshio Nakaiso

昨年5月にリリースした3rd アルバム「WINK」をUS名門インディーレーベルSub Popからリリースし、12月にソニーミュージック洋楽レーベルとの契約を発表するなど、グローバルなステージでの活躍が加速中の“N.E.O.-ニュー・エキサイト・オンナ”バンド=CHAI。1月12日にNHKよるドラ「恋せぬふたり」のために書き下ろした主題歌「まるごと」をリリースし、2月2日にはZAZEN BOYS、STUTS、Busy Pなど世界各国のアーティストとのコラボ・リミックスEP「WINK TOGETHER」をリリース予定と、精力的に新作を発表し続けている彼女たちが、東名阪対バンツアー”冬のCHAIまつり“を敢行した。

初日の大阪・梅田クアトロ公演には注目度急上昇中の4人組“エキゾチックロックバンド”=NEEを、名古屋クアトロ公演には新星シンガーソングライター/トラックメイカー=Momを迎えての公演が大盛況のうちに終了し、1月17日には東京Spotify O-EASTにて、ゲストにシンガー・ソングライター=iriを迎えたツアー・ファイナルが行われた。同公演の速報ライブレポートが到着。

ライブレポート

CHAIの東名阪ツアー「冬のCHAIまつり 2022」。最終日の東京Spotify O-EASTではゲストにiriが登場。生ドラムと生ベースを入れたバンド編成によるR&Bと、持ち前のクールな歌声で、客席を最初から虜にしていた。

iriがバンド編成ならCHAIもバンド編成。そう書くと、メンバーが固定の位置にスタンバイし、ひとつの楽器を黙々と演奏する様子を思い浮かべる人は多いと思う。ビートルズで言うならジョンとポールがそれぞれ顔で、ジョージとリンゴが縁の下の力持ち。そんな役割分担も含めてバンドだという概念は、今なお強いはずだから。

新作「WINK」以降のCHAIはそのあたりが相当自由である。始まりの「NO MORE CAKE」はドラムの前にユナ、それ以外の3人はフロントで動き回る3MCスタイル。2曲目の「ACTION」ではユナも前列に加わり、4人はダンスグルーブさながらのキレある動きを見せる。中盤の「Nobody Knows We Are Fun」はR&Bに寄せた音と吐息がなんともエロティック。さらに後半の「PING PONG!feat. YMCK」になるとマナ・カナが歌唱とダンス担当、後ろのDJブースでユナとユウキがキッチュな電子音を鳴らしているのだ。

小気味いいほど自在なフォーメーション。それでも4人が「バンド」に見えているのが一番の驚きだった。曲が格好よければ、気持ちよく踊れるなら、それに合わせて個々のやることを変えるのが当然。冒頭に書いた「バンド」の概念が、そもそも彼女たちには希薄なのかもしれない。役割分担を先に決めちゃうと自分のポジションやキャラまで縛られちゃうよ? と言わんばかりの笑顔。曲ごとの同期や移動が忙しくなったのは事実だが、ピリピリした緊張はまったくなかった。いや、4人とも、羨ましいくらい楽しそうだ。これは間違いなく、理想のバンドの条件のひとつである。

アンコールでは2月から北米ツアーに行くことも発表された。刺激を食らい、そのぶんだけ大きくなって、またCHAIは変化するだろう。視覚・聴覚的にも完成度の高いエンタメではあったが、最終形だとはまったく思わない。これができるならもっと可能性が増えていく。そんな予感しかないステージだった。

(文=石井恵梨子)

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