宇宙への想像、未来への希望を感じる作品の数々 LE VELVETS・佐賀龍彦&アートテラー・とに~が『長岡秀星回顧展』を語る

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『長岡秀星回顧展 SPACE FANTASY –透明な宇宙を求めて–』

『長岡秀星回顧展 SPACE FANTASY –透明な宇宙を求めて–』

12月8日(火)より27日(日)まで、代官山ヒルサイドフォーラムにて『長岡秀星回顧展 SPACE FANTASY –透明な宇宙を求めて–』が開催されている。長岡秀星は宇宙やSFの世界観を中心に描いたアーティストだ。彼が創造した作品は、イラストレーション全盛の1970年代に、ライフやサタデー・イブニング・ポスト等の大型グラビア誌を席巻。70年代後半から80年代には、カーペンターズなどアーティストのレコードジャケットを担当するなど、世界で活躍を見せた。
本展は、宇宙・科学イラストレーションの原画やアルバムジャケットの原画など、全約70点で構成されている。展覧会の開催を前に、回顧展のイメージソングを歌うLE VELVETSのテノール担当・佐賀龍彦と、アートテラー・とに~による対談が行われ、長岡の作品の魅力や回顧展に対する見どころなどが語られた。

左:アートテラー・とに~ 右:LE VELVETS・佐賀龍彦

左:アートテラー・とに~ 右:LE VELVETS・佐賀龍彦

佐賀:とに~さんは、この『長岡秀星回顧展』で、長岡さんの原画を初めてご覧になったと聞きました。

とに~:そうですね。初めて拝見しました。

佐賀:ご覧になった感想は?

とに~:ワクワクする作品というか……。僕らの今の時代ってあんまり未来にワクワクしないじゃないですか(笑)。暗いことも多いですし。昨年『シド・ミード展』に行ったときも感じたことですが、彼らは、未来って楽しいものなんだ、未来って希望があるんだっていうことを作品にできた最後の世代のような気がしていて、考え方や世界の捉え方がすごく似ている気がしました。

佐賀:画を見ただけでそういったことを感じられたのですね。

とに~:そう、なんか羨ましくなりますよね。あと、二人の画がCGみたいだとよく例えられるんですよね。

佐賀:そうですね!

とに~:僕らはCGのことをよく知っている時代に生まれているから「CGみたい」って言えるけど、当時はCG自体が無かったわけで。この二人がいたからCGが生まれたんじゃないかなと思うくらいです(笑)。僕は、芸術家の仕事のひとつとして「僕らが見たことの無いものを見せてくれる」というのが大きな役割だと思っていて。そういう意味では、彼らはその当時に無かったものを見せてくださったと思います。だから、この二人がいなかったら今が無いんだろうなとすごく実感したし、それはシド・ミード展でも、今回長岡さんの作品を見ても思いました。

佐賀:僕は、ジャケットを見たときはCGのようなものを感じられたんですが、初めてこの原画を拝見したときに、そこに手作りの温かさのようなものが加わっている気がして。数十年前の作品になるのですが、逆に新しさを感じました。

とに~:確かに、今見ると新鮮な感じさえしますよね。本当に良いものって、時代を超えて感動できるものだと思うんです。そういうものが、この二人には共通しているのかもしれませんね。

佐賀:なるほど。今見ても未来へのワクワクする気持ちを感じますよね。

Munich Machine

Munich Machine

とに~:長岡さんが活躍されていたのは1970年代なので、今回の展覧会は、たぶんその当時の活躍を知っていらっしゃる方々が特に注目されていると思うんですけど、もっと若い人とかお子さんとか、これまで長岡さんの作品を見たことが無い人にもぜひ見ていただきたいですね。この画を見て、未来ってすごいなとか、希望を持ったり、想像力を掻き立てられたりしてほしい。次世代の長岡秀星が出てきてほしいなと思うので、若い世代にこそ見ていただきたいなと思います。

佐賀:老若男女の皆さんが一緒に見て楽しめるような……。ちょうどテレビが一般家庭に出始めた頃に皆で一緒にテレビを見て楽しんでいるような、世代を超えて楽しめる感じはありますね。

とに~:特に今、アフターコロナという暗い世の中だからこそ、希望が持てるんじゃないかなって思いました。長岡さんの作品って、訴えかけてくる部分もあるんだけど、むしろ引き込まれる、奥行きを感じるんですよね。それは画の奥行きもありますが、たぶん歴史的なものや文明的なものをモチーフにした作品が多いので、それが奥行きや引き込まれるような感覚を与えるのかもしれません。シド・ミードの作品って、彼は元々カー・デザイナーを目指したこともあって、作品に工業的なイメージがあります。長岡さんはどちらかというと工芸的というか、温かみもあるけれど、芸を極めている描き方で。職人技を感じますよね。

佐賀:ディテールの所までしっかりと近くまで拝見して初めて、描いているものが分かるような(笑)。

とに~:そうですね(笑)。筆跡が分からない作品なんかも沢山あるので。そういう所が魅力ですし、いくら見ても見飽きないという所がポイントかな。しかも、僕も何度かこの場所で見させてもらっているんですが、見るたびに発見があって、それがすごく長岡さんらしい感じがします。

佐賀:原画を生で見たときに、また全然イメージが変わりますよね(笑)。

とに~:だから一回見たら動けないんじゃないですか? 原画の前から。皆さん足が止まってしまって、吸い込まれちゃうんじゃないかな、っていう心配はありますよね(笑)。

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