「次のステージへ進みます!」フレデリック、横アリ初ワンマンのライブレポートが到着

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「FREDERHYTHM ARENA 2020〜終わらないMUSIC〜」横浜アリーナ公演
Photo by 渡邉一生

フレデリックのワンマンライブ「FREDERHYTHM ARENA 2020〜終わらないMUSIC〜」が2月24日、神奈川・横浜アリーナにて開催された。

シーズン1:「夜にロックを聴いてしまったら編」(東京・新木場STUDIO COASTワンマン/2019年4月)、シーズン2:「リリリピート編」(ワンマンツアー/6〜7月)、シーズン3:「UMIMOYASU編」(対バンツアー/10月)、シーズン4:「VISION編」(Zeppツアー/11〜12月)と昨春から計5シーズンにわたってフレデリックが展開してきたライブシリーズ「FREDERHYTHM TOUR 2019-2020」のシーズン5=ツアーファイナルにして、自身初となる横浜アリーナでのワンマンライブ。

フレデリックにとっては2018年4月の神戸ワールド記念ホール公演「FREDERHYTHM ARENA 2018〜KOKYOのTOGENKYO〜」以来2度目の単独アリーナ公演ということもあり、ソールドアウト満場の客席には開演前から汗ばむほどの熱気と期待感が流れている。

暗転した舞台上のビジョンに、兵庫・神戸ワールド記念ホール公演から昨年のツアーまでを辿る映像が映し出され、一連の軌跡が「今、ここ」へつながっていることに誰もが思いを馳せたところへ――誰よりこの日を待ち焦がれていた三原健司(Vo・G)/三原康司(B)/赤頭隆児(G)/高橋武(Dr)の4人が、満場の手拍子を受けてステージに登場。

前回のアリーナ公演では、アンコールの最後に未発表の新曲として披露されていた「飄々とエモーション」が、磨き抜かれたフレデリック・アンセムとしての圧巻の存在感をもって鳴り渡り、ライブの幕開けを鮮烈に飾っていた。

「横浜アリーナ、大きい歌声聴かせてくれ!」の健司の呼びかけが、会場一面にコール&レスポンスを巻き起こしていく。そのまま「シンセンス」から最新EP表題曲「VISION」、さらに「オンリーワンダー」と楽曲を畳み掛け、熱いクラップとシンガロングの輪を生み出してみせる。

「音楽大好きって人どれくらいいる?」という健司の言葉に応えて湧き上がる大歓声を、「全部受け取りました。全部返していきます!」とさらなる高揚感へ導いたところで、最新2ndフルアルバム「フレデリズム2」の「夜にロックを聴いてしまったら」からライブは緩急自在のポップアドベンチャー状態へと突入していく。

中盤の「NEON PICNIC」では、スタッフからメンバーへのサプライズが。観客に配られたキットでネオンカラーに彩られた客席のスマホライトが一斉に点灯され、メンバーの表情にも驚きと感激の色が浮かぶ。「感動した! ありがとう」の健司の言葉に、さらなる拍手喝采が広がった。

インディーズ期のサイケデリックな楽曲「峠の幽霊」では、メインステージとアリーナ後方の浮島ステージを結ぶ“峠道”に人魂を想起させる発光体を掲げた白いドレスの女性があらわれ煙に覆われた浮島にきえた――かと思いきや、今度はメインステージにいたはずの健司が煙の中から登場! 広大な空間を挟んで、双子の三原兄弟が向かい合って「対価」を演奏するという構図も、アリーナ会場ならではの名演出だ。

「逃避行」からライブは後半戦へ。「TOGENKYO」「KITAKU BEATS」の躍動感と「バジルの宴」の狂騒感で会場を震わせたところへ「オドループ」! 高らかなシンガロングを受けて「今日、人生最高の日を更新した人どれくらいおる?」と問いかける健司の言葉に、観客の挙手と歓声が広がっていく。

「今一番カッコいいフレデリックを見せて帰ります」と本編最後に披露したのは、EP「VISION」のカップリング曲「イマジネーション」。ステージ狭しと噴き上がる火柱&火の玉が、オルタナR&B的なサウンドと乱反射し合う中、会場全体を練り歩きながら、「自分の衝動を声に出して聴かしてくれるか横浜!」と観客を煽る健司の叫びに、割れんばかりの歓声と歌声が響き渡った。

アンコールではメンバーが再びアリーナ後方の浮島ステージへ移動、それぞれに感慨を語る。

「『誰かと作るもの』が一番好きなんやなって。それを一緒に作ってくれて、ありがとうございます」と康司。「一瞬やったな、思ったより。それだけ楽しかったんやなって」と赤頭。「フレデリックで横浜アリーナを目指せたことがとても嬉しいです」と語るのは、メンバーで唯一横浜出身の高橋。そして、「このままじゃまだまだ俺たち終われないと思うんで」とさらなる決意を伝える健司。四者四様の言葉が観客の多幸感と共鳴し、会場の一体感をなおも高めていく。

「CLIMAX NUMBER」をアコースティックアレンジで演奏した後、メインステージへ再び移動する4人。細く開いたステージの割幕から差し込む光に向かい、一歩また一歩と足を進める姿が、よりいっそう目映い未来を夢想するフレデリックの決意を象徴しているように思えた。この日最後に響かせたのは、同じく「VISION」の収録曲「終わらないMUSIC」だった。ポップなメロディが、研ぎ澄まされたアンサンブルの肉体性と重なり合って、雄大なスケール感を獲得していく……まさにバンドマジックの奇跡と呼ぶべき輝きが、その音像には確かに宿っていた。

「フレデリックは次のステージへ進みます! 今日はどうもありがとうございました!」

そんな健司の言葉通り、4人が去った舞台にはバンドの「これから」を示す新たなツアースケジュールが映し出される。その最後に「FREDERHYTHM ARENA 2021」のタイトルと「2021年2月23日東京・日本武道館」の文字が浮かび上がると、横浜アリーナはひときわ大きな驚きと歓喜に包まれていった。フレデリックの音楽と進化は終わらない――そんな実感が、強烈な余韻とともに胸に残る。最高の一夜だった。

テキスト:高橋智樹

SET LIST

01.飄々とエモーション
02.シンセンス
03.VISION
04.オンリーワンダー
05.夜にロックを聴いてしまったら
06.スキライズム
07.シンクロック
08.真っ赤なCAR
09.LIGHT
10.NEON PICNIC
11.峠の幽霊
12.対価
13.逃避行
14.TOGENKYO
15.KITAKU BEATS
16.バジルの宴
17.オドループ
18.イマジネーション
(Encore)
01.CLIMAX NUMBER(FAB!!)
02.終わらないMUSIC

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