Nulbarich 満員御礼の初ワンマンに幕、そして次なるステージヘ

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2nd EP「Long Long Time Ago」をリリースしたばかりのNulbarichが、12月13日に東京・LIQUIDROOMにて、初のワンマンツアー「Change The Track」の最終公演を開催。現在の彼らの勢いを現すかのように全4公演即日ソールドアウトとなった初のツアーに幕を下ろした。

ライブレポート
2nd EP『Long Long Time Ago』をリリースしたばかりのNulbarichが、昨日12月13日に東京・LIQUIDROOMにて、初のワンマンツアー《Change The Track》の最終公演を行った。

編成にとらわれない楽曲至上主義を追求し、また情報があふれる現代にあって、先入観なく音楽を聴いて欲しいという思いから、フロントマンのJQ以外は固定したメンバーから流動的に選出し、素性も伏せたフリーフォームな形態をとる彼ら。

多くのリスナーにとって馴染みのないスタイルゆえに、謎や疑問は尽きないが、それらはライブでたちどころに解消される。

この日はJQ不在のまま、まずは2人のギター、ベース、ドラム、キーボードがステージに登場。ドラムが繰り出す強烈な4つ打ちのリズムを土台に、腕利きのプレイヤーたちがインタープレイを繰り広げると、そこに登場したJQのカウントをきっかけに「It’s Who We Are」がスタート。

彼らはマスクを被っているわけでもなく、そこには怒濤の演奏を通じて爆発させる音楽の情熱だけがあった。

そして、アシッドジャズを引き合いに出して語られることの多い彼らだが、「Lipstick」に代表されるジャズファンクのグルーヴが引っ張ったライブ前半以降、ヒップホップやR&Bの影響を色濃く反映したNulbarichの実体が浮かび上がる。

JQはMCにおいて、それを「止まらず行くスタイル、ビートが止まないスタイル」と語っていたが、ネオソウルのメロウネスが注入された「Fallin’」からディアンジェロを思わせるアブストラクトなファンク「Spread Butter On My Bread」を経て、ヒップホップビートを基調に、各メンバーが素晴らしいソロを存分に披露する長尺のジャムに突入。

暴れまくるベースのグルーヴとループベースでリズムパターンを変化させるドラムのファットな出音は、彼らがクラブミュージックの出自であることを雄弁に物語っていた。

また、彼らはUSメインストリームポップスのメロディ感覚を体に染みこませたバンドでもある。ライブ本編を締めくくった3曲、普遍的なメロディが広がるミッドテンポの「Ordinary」にポジティブな響きに満ちたNulbarichの代表曲「NEW ERA」、爽やかさと明るさが弾ける「Follow Me」では自然と上がったオーディエンスの手が印象的だった。

その手に支えられ、2016年1月の結成から快進撃を続けてきたNulbarichの活動を振り返って、MCで感謝の念を述べたJQ。

その飾らない言葉で伝えきれない思いをエモーショナルな演奏に託し、アンコールでは新境地を切り開いた最新EP収録の「In Your Pocket」と明るい未来を予感させる「LIFE」を披露すると、現在のバンドの勢いを象徴し、全4公演が即日ソールドアウトになった初のツアーに幕を下ろした。

ライター:小野田雄
カメラマン:木村篤史

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