SOIL&”PIMP”SESSIONS圧巻の全国ツアーファイナルは三浦大知、EGO-WRAPPIN’ら他、野田洋次郎がサプライズ出演

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SOIL&”PIMP”SESSIONSが8月1日に全国ツアーファイナル公演「TOUR 2018 “DAPPER” FINAL」を東京・中野サンプラザで行った。

5月にリリースしたオリジナル・フルアルバム「DAPPER」(読み:ダッパー)は全14曲(インタールード1曲を含む)を収録、ジャズを基軸にヒップホップ、エレクトロ、R&Bが交差した最新型SOILを体現する作品。

Awich、三浦大知、野田洋次郎(RADWIMPS)、Nao Kawamura、Shun Ikegai(yahyel)、Kiala Ogawa(Kodäma)、EGO-WRAPPIN’の豪華フィーチャリング・アーティストが参加したが、昨日のファイナル公演ではなんとこの豪華全アーティストが勢揃いで出演。一夜限りのスペシャルライブとなった本公演の模様をレポートする。
 

SOIL&”PIMP”SESSIONS「TOUR 2018 “DAPPER” FINAL」レポート

SOIL&”PIMP”SESSIONSの全国ツアー「SOIL&”PIMP”SESSIONS TOUR 2018 “DAPPER”」が、8月1日の東京・中野サンプラザ公演でファイナルを迎えた。

5月9日に発売されたニューアルバム「DAPPER」を携え、6月8日の札幌公演を皮切りに福岡・岡山・広島・仙台・静岡・名古屋・大阪・東京と計9都市を巡ってきた「TOUR 2018 “DAPPER”」。その最後を飾るのが、今回の中野サンプラザでのワンマンライブ。

ジャズをベースとしつつも、ヒップホップ/R&B/エレクトロ/アンビエントなど多彩な音楽性を取り入れ、「デスジャズのその先」のSOIL像を打ち立てた「DAPPER」の世界観が、ゲストアーティストの熱演とともに繰り広げられた、最高のステージだった。

ツアーファイナルとなるこの日は三浦大知、EGO-WRAPPIN’、Nao Kawamura、Awich、Shun Ikegai(yahyel)& Kiala Ogawa(Kodäma)といった「DAPPER」のフィーチャリング・アーティストがゲスト出演することが事前にアナウンスされていたこともあり、ソールドアウト満場の中野サンプラザは開演前から濃密な期待感と高揚感に満ちている。

そんな中、社長(Agitator)、タブゾンビ(Tp)、丈青(Pf)、秋田ゴールドマン(B)、みどりん(Dr)にサポートメンバー=栗原健(Sax/Mountain Mocha Kilimanjaro)を加えた6人が登場、まずは“Method”でライブはスタート。清冽な音像とドラムンベースを思わせる緻密なリズムが絡み合い、会場の熱気を爽快にかき混ぜていく。

さらに「DAPPER」からもう1曲“Explorer”。タブゾンビ&栗原のホーンサウンドとアシッドジャズのグルーヴが客席を心地好く揺らし、ショルダーキーボードを構えた丈青が前面に進み出て、鮮やかなプレイでオーディエンスを煽っていく。

センターの社長の立ち位置には2段重ねのシンセとサンプラーとMacがセッティングされ、時に社長が、時に丈青がシンセを演奏するなど、「DAPPER」の音楽的な自由度の高さをステージパフォーマンスの面でも堪能できるのが、今回のツアーの大きな特徴と言える。それによって、世界のシーンの趨勢を見据えつつジャズとDJを肉感的に融合させた「SOIL最新モード」がよりいっそうリアルに感じられた。

“Bond”“Deform Reform”といった新作曲と、“Mature”やスタンダードナンバー“Moanin’”などを織り重ね、ソロ回しも交えて高らかなクラップを巻き起こしてみせた後、「この日本には、素晴らしいボーカリストがたくさんいるんですよね」という社長の言葉をきっかけに、圧巻のゲストコーナーへ突入していく。

最初に登場したゲストはNao Kawamura。シンガーとしてはもちろんコーラスワークにおいても数多のアーティストから熱望されている、ソウルのテイストと透明感に満ちた唯一無二の歌声を中野サンプラザ一面に響かせながら、コーラスチームとともに“Drivin’”の妖艶なハーモニーを聴かせていった。

続いてはAwich。5月のリリースパーティー「DAPPER ONE」にも出演している彼女、「中野サンプラザ、元気? 社長、元気?」とあたかも自らのホームグラウンドのように呼びかけながら、ハイエナジーなヒップホップナンバー“Heaven on Earth”をワイルドに歌い放ち、観客をぐいぐい惹きつけていった。

ハイトーンのファルセットからローレンジまで幅広く歌いこなすShun Ikegai、甘く切ない歌声の中にも国境や文化を越えた広がりを体現するKiala Ogawaという二人が披露したのは“Glitch”。ひときわ洗練された音の質感とともに、中野サンプラザをNYのクラブのようなクールな空気感で包んでみせた。

ゲストコーナーの後半には三浦大知が登場。「DAPPER」のリード曲“comrade”のメロディを弾むように歌い上げるボーカリゼーションも、曲中にステージ狭しと繰り広げる軽快なスピンも、日本のポップシーンの最前線を切り開くトップアーティストならではの破格の存在感に満ちている。そのパフォーマンスに酔いしれたように、オーディエンスの熱気がなおも刻一刻と高まっていくのがわかる。

そして、SOILが長年リスペクトするEGO-WRAPPIN’が披露するのは、「DAPPER」のラストナンバー“drifter”。中納良恵の豊潤で伸びやかな歌声、森雅樹のギターサウンドが、タブゾンビのトランペットの音色と響き合いながら、アンビエント・ジャズとでも言うべき白昼夢的な風景を描き出していく――。

個性豊かなアーティストの歌をフィーチャーすることによって、SOILというバンドならではの音楽的なアイデンティティが浮き彫りになっていくのも、今回のツアーならではの醍醐味だろう。

「アゲてくぞ! 準備はいいか? This is DAPPER 2018!」という社長のコールから、“Pride Fish Ball”ではタブゾンビ・秋田・栗原の3人のタム乱打とみどりんのパワフルなリズムが極上のビートと躍動感を生み出していく。さらに“Papa’s Got A Brand New PigBag”でサンプラーやシンセベースを駆使したエレクトロサウンドとともに6人一丸となって多幸感と狂騒感を巻き起こし、歓喜のダンスで中野サンプラザを激しく揺さぶっていく。

灼熱のデスジャズ・アンセム“SAHARA”で丈青が汗だくの熱演を繰り広げた後、会場一丸のコール&レスポンスから“SUMMER GODDESS”でタブゾンビ&栗原の渾身のソロプレイ炸裂! 社長の煽りに応えて客席一面に高々と手が突き上がり、晴れやかなクラップが鳴り渡る。本編最後の“FUNKY GOLDMAN”まで、彼らは「DAPPER(粋な)」というタイトル通りの音楽空間を構築してみせた。

アンコールの冒頭、この日「DAPPER」から唯一出演が発表されていなかったフィーチャリング・アーティスト:野田洋次郎(RADWIMPS)にタブゾンビが触れ、「野田くんは来れなかったけど、今日は社長が歌うから(笑)」と客席を沸かせたところへ、「そうはさせないぜ!」と舞台に姿を現したのは、なんとシークレットゲストとして会場に駆けつけた野田洋次郎その人だった。

共演する楽曲はもちろん、TVドラマ主題歌としても話題を集めた“ユメマカセ feat. Yojiro Noda”。ひときわ大きなシンガロングの輪を生み出した後、「最高にカッコいい先輩とご一緒できて嬉しいです。幸せ者ですね、みんな!」と呼びかける野田の言葉が、惜しみない拍手喝采を呼び起こしていった。

アンコールのラストに“Strasbourg、St.Denis”を演奏しながら、改めて本編登場ゲストを一組ずつ呼び込んで、感謝の言葉を伝えていくSOIL。そして演奏が続く中、それぞれコメントを残して一人ずつ舞台から去っていく。「長く続けるっていうことは、メンバーもスタッフもお客さんも、全部いい感じっていうこと。みんな最高! だから上手くいくんです」(丈青)、「今日ツアーファイナルで、今僕たちが思うカッコいい音を聴いてもらいました。この景色、忘れないから!」(社長)といったメンバーの言葉が、SOILの今の充実感を何より明快に伝えていた。

ライター:高橋智樹
カメラマン:横山マサト

セットリスト
01.Method
02.Explorer
03.Mature〜Bond
04.Moanin’
05.Deform Reform
06.Drivin’ feat. Nao Kawamura
07.Heaven on Earth feat. Awich
08.Glitch feat. Shun Ikegai from yahyel & Kiala Ogawa from Kodäma
09.comrade feat. 三浦大知
10.Dusk
11.drifter feat. EGO-WRAPPIN’
12.Pride Fish Ball
13.Papa’s Got A Brand New PigBag
14.SAHARA
15.SUMMER GODDESS
16.FUNKY GOLDMAN

En1.ユメマカセ feat. Yojiro Noda
En2.Strasbourg、St.Denis

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