「ASOBIEXPO」開催、きゃりーや、中田ヤスタカ等が所属のASOBISYSTEM 10周年記念

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「ASOBISYSTEM 10th ANV presents ASOBIEXPO」

きゃりーぱみゅぱみゅ、中田ヤスタカ、増田セバスチャンなど日本のポップカルチャーのキーマンを多数擁し、日本最大級のインバウンドイベントや数万人を動員する音楽フェスを実施するASOBISYSTEM の設立10周年集大成イベント「ASOBISYSTEM 10th ANV presents ASOBIEXPO」が、東京・新木場STUDIO COASTで開催された。

当日は二部制であり、無料招待制となったライブ&ショーイベント色の強い昼の「ASOBIFES!!!」、日本を代表するアーティストが集まったクラブイベント「ASOBINITE!!!」として、アーティスト、モデル、DJ等、出演者約100組が大集結。その勇姿を見届けようとプレミアムなオーディエンスが集まった。

「ASOBIEXPO」

ASOBISYSTEMといえば、斬新なファッションや音楽で日本のポップカルチャーを変えたプロダクションだ。“KAWAiiカルチャー”をはじめ、日本が誇るポップカルチャーを世界へ作り込むことなく“そのまま届ける”ことに成功した稀有なクリエイティヴ・チームである。

トップバッターは、ASOBISYSTEMの次世代を担う16歳の新しい才能、MANONが登場。MCではキュートな脱力感を解き放ちつつも、「xxFANCYPOOLxx」や「COCO BOI ROMANCE」など、言葉のセンスにエッジーなリアルタイム感が漂う、時代にジャストなゆるふわラップを聴かせてくれた。

Tシャツ姿で登場したASOBISYSTEM代表取締役の“あーみー”こと中川悠介氏。「所属アーティストやモデル、DJが、こんなにたくさん集まるのは初めてです。今日は、皆さんの最大のテンションを持って楽しんでください。それでは『ASOBIFES!!!』、スタートです!」。そして、スクリーンにはASOBISYSTEMが切り開いてきた10年のヒストリー映像が映し出されていく。

MCとして、サッシャ、貴島明日香がステージに登場。当日のメニューを紹介。アーティストやモデルが多数参加し、屋外エリアも含めライブ、DJ、フード販売、撮影会、モデルの私服のフリーマーケットや企業ブースなど、多種多様な展開が告げられていく。会場を散歩すると「Bayside Dance Camp」エリアではミニトマトすくいや、キッズ用のプールも用意されているなど、見事に暑さを忘れられる細やかなおもてなし空間が提供されていた。

続いて、ステージにはTEMPURA KIDZが登場。いきなりクライマックスな勢いでダンサブルなポップチューンを繰り広げていく。途中、地方創生プロジェクトの一環としてワークショップをされている福島県田村市から、一般ゲスト・ダンサーを呼び入れ共演していたのが感動的だった。風化させない心意気。心通う、絆を感じた瞬間だった。

「ASOBIFES!!!」は音楽だけではない。そもそもASOBISYSTEMは、会社設立前から美容師をターゲットとした月曜深夜開催のクラブ・イベント「美容師ナイト」で名をあげたことで今がある。この日は次世代の美容師による、No.1表現者を決めるコンテスト、「ASOBISYSTEM×CHOKiCHOKi 次世代美容師コンテスト」のファイナルステージを実施。ストリートカルチャー&ファッションを指標に、単純に“かわいい”か“かっこいい”のみで決める、いわゆる日常感覚での選考というのがこだわりだ。テーマは「2018年夏」。制限時間は6分で、これまで選考を勝ち進んで来たスタイリスト部門5名の美容師によるバトルが展開されていく。後半のLorettaのヘアショーでは、人気の女性スタイリストたちが見事なテクニックで洒落たヘアアレンジを披露した。

続いては、メロウなシンセポップにのせてASOBISYSTEM所属モデルが闊歩するSPECIAL FASHION SHOWがスタート。“URBRN MOOD”をテーマに武智志穂、村田倫子らがランウェイを歩く。後半ではテーマが“TOKYO STREET”“VINTAGE MIX”へと展開され、柴田紗希、菅沼ゆりらが登場した。

ASOBISYSTEMは、アイドル文化をサポートするレコードレーベル「FUJIYAMA PROJECT JAPAN」をアイドル横丁と共に2015年から運用している。この日はレーベルに所属する6組がパフォーマンスを繰り広げた。まずは、本邦初披露となる新宿2丁目で生まれたGAY-SHA GALsの登場だ。身長大きめなギャル?が、90年代ユーロビート風のドリンキン・ソングを歌唱。謎めいた存在感そのままに、MCも無く去っていったが「ブッスブッス♪」というキャッチーなサビが強烈な印象を残した。さらに、後半にはEVERYDAYSがRAM RIDERプロデュースによるポップチューン「ハロー!EVERYDAYS!」を披露。日本発のポップカルチャー、アイドル文化の深みを痛感したコーナーとなった。
 

三戸なつめ「ASOBISYSTEM 10th ANV presents ASOBIEXPO」

ステージは一変して白い椅子が置かれ、三戸なつめが6人の演者を引き連れて登場。昔から絵本を作るのが夢だったという彼女が、小さな頃から大切にしているくまのぬいぐるみを題材にした絵本『ムム』の朗読劇がスタート。スクリーンには、彼女が書いた絵本がアニメーション風にアクション。BGMやきらめく照明とともにシアトリカルな空間がポップに誕生した。当日のストーリーの続きは、続編絵本として『ムム〜しまちゃんのおたんじょうび〜』が同日に発売された。
 

新しい学校のリーダーズ「ASOBISYSTEM 10th ANV presents ASOBIEXPO」

会場の空気が一変するといえば、“はみ出した存在”であるダンス&ボーカル・パフォーマンス・ユニット新しい学校のリーダーズもフロアを熱狂させた。ピアノがリードする、ハードなロックサウンドがグルーヴィーにダンスを彩る「毒花」を披露。続いて、学校のとある風景を表現した寸劇をしながら、“親友に好きな人を取られる物語”を歌ったという曲「恋遮断機 feat. H ZETTRIO」では、昭和歌謡の恋歌を彷彿とさせるナンバーを熱唱&ダンスしていく。途中メンバーがASOBISYSTEM 10周年を記念して“ASOBISYSTEMとの記憶と記録”をテーマに作文を読み上げていく。あーみー社長宅で合宿した秘話や、「あーみー10周年おめでとう!これからも一緒に頑張っていこうな!」とパンクにシャウトして、アッパーチューン「最終人類」がスタート。まさに、ASOBISYSTEM愛が伝わるステージだった。

後半に行われた「ASOBISYSTEM×CHOKICHOKI 次世代美容師コンテスト」の会場投票によるファイナルの結果発表。アシスタント部門は、ROVER・小松裕一郎氏が受賞。スタイリスト部門は、LIPPS表参道・イタル氏が受賞。ライフスタイルに密接な、これからの時代のファッション文化を切り開くコンテストとなったことは間違いない。

続いて、モデル・瀬戸あゆみによるブランド「Aymmy in batty girls」のショー。最新コレクションのテーマは“SFとホラー映画”。フレディやチャッキー、『アダムスファミリー』のウェンズデーちゃんなど映画をモチーフにデザインされていることにポップ・センスを感じた。

今回イベントの目玉の一つである「ASOBISYSTEM THE AUDITION 2018」。世界で活躍するアーティスト、クリエイターを輩出してきたカルチャー・プロダクションASOBISYSTEMが贈る、同社初となる大規模オーディション・プロジェクト。3月に募集を開始してから約5ヶ月。当日は、18名のファイナリストがステージに並び、各賞が発表された。グランプリは、乗田雫杏さん(青森/13歳)が受賞。「まさか、わたしがグランプリになると思ってなかったので嬉しいです」とコメント。今後が気になる、新生の誕生を垣間見た瞬間だった。
 

CAPSULE「ASOBISYSTEM 10th ANV presents ASOBIEXPO」

そして、お待ちかねCAPSULEの出番だ。オープニングは「Another World」で会場をあたためつつ、立て続けに骨太なフロア・アンセム「MORE MORE MORE」、「JUMPER」、「Hero」をプレイ。宇宙を彷彿とさせるスクリーン映像、そして巨大ミラーボールへ光が当たり、宇宙空間へダイブしたかのような世界感が没入感高いCAPSULEワールドを生み出していく。そして、懐かしのポップアンセム「Starry Sky」をプレイ。こしじまがが「今日はありがとう!ASOBISYSTEM 10周年おめでとう、最後まで楽しんで帰ってね!」と柔らかくシャウト。非日常的なグルーヴが爆裂し最高潮な盛り上がり状態になった。
 

きゃりーぱみゅぱみゅ「ASOBISYSTEM 10th ANV presents ASOBIEXPO」

オーラスは、ASOBISYSTEMを代表するアーティスト、きゃりーぱみゅぱみゅの出番だ。待ちに待ったオーディエンスの笑顔。イントロダクション「Kpp On Stage」で黒いダンサー4名が登場。きゃりーは、いつもと一味違ったラフな衣装でヒット・チューン「インベーダーインベーダー」を披露。「ありがと〜!『ASOBIEXPO』へお越しの皆さん、盛り上がってますか?ASOBISYSTEM 10周年おめでとうございます。わたしは、ASOBISYSTEMに所属して7年。社長のあーみーさんに会って7年が経ちました。曲は、中田ヤスタカさんに作ってもらっているのでASOBISYSTEMにはお世話になりっぱなしです。ありがとうございます!」。そして、少し大人のきゃりーを感じられた名曲「きみのみかた」を歌唱。ラストは「原宿いやほい」で、大団円を迎えるSTUDIO COAST昼の部「ASOBIFES!!!」。祝祭な、気持ちのいい雰囲気にあふれた晴れやかな光景が目の前に広がっていく。

この後、夜はASOBISYSTEMのフラッグシップ・イベント「ASOBINITE!!!」が10周年記念の全国クラブツアー「ASOBITOURS!!!」のファイナルとして開催。中田ヤスタカをはじめ、ASOBISYSTEM擁するRAM RIDER、80KIDZ、TeddyLoid、DJ KYOKO、Licaxxxや、ゲストとして、SHINICHI OSAWA(MONDO GROSSO)、TOMOYUKI TANAKA(FPM)、☆Taku Takahashi(m-flo, block.fm)、DAISHI DANCE、banvoxら豪華メンツが集結。同じく10周年を迎えた「ASOBINITE!!!」を祝うお祭り感満載の夜となった。

特に注目が集まったのはシークレットゲストを迎えると事前発表していた「ASOBINITE!!!」レジデントの中田ヤスタカだ。満員のフロアでプレイする中田ヤスタカがシークレットゲストとして呼び込んだのは、CAPSULE・こしじまとしこ、MEG、眞白桃々、CY8ER・苺りなはむの4人。それぞれ「Sugarless Girl」「甘い贅沢」「Jump in Tonight」「White Cube (+Voice Version) [feat. 苺りなはむ]」をスペシャル・セッションとして披露。5ヶ月にわたり開催された「ASOBITOURS!!!」のファイナルとして相応しい“至福の空間”に染めあげた。

ASOBISYSTEMの設立10周年を祝う「ASOBIEXPO」。まさにテン年代、日本のポップカルチャーの歴史を一気に駆け抜けた奇跡的な1日だった。しかし、ASOBISYSTEMは止まらない。新しいアーティストやモデルも続々発掘。さらなる次世代カルチャーの創造を目指して、日本、そして世界へと現在進行形で突き進んでいく。夢は止まらない。そんな、思いの強さに心打たれた圧倒的ポップなフェスだった。

文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

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