ももクロ、NiziUを抑え……「#オーイシ1000円」でトレンド1位! オーイシマサヨシワンマンライブ『エンターテイナー』レポート

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撮影:大参久人

自称・アニソン界のおしゃべりクソメガネ”ことオーイシマサヨシ。大石昌良としての活動とは別に、2014年から様々なアニメ作品への楽曲提供、主題歌の歌唱のみならず司会業や俳優としても活躍してきた7年を経て初となるアルバム『エンターテイナー』を8月25日に発売した。そして9月19日には同じく『エンターテイナー』と銘打ってパシフィコ横浜でワンマンライブを開催。自ずと観る側のハードルも上がってしまうこのタイトルから、彼はどのようなライブを作り上げたのか。その模様をレポートする。

■花澤香菜が影アナを担当「現地組や自宅組などの境界線を超えた、新しいステージを」

開演前、“最近、レーベルの後輩になった”花澤香菜が影アナを務め、あいさつと諸注意やステージ上のLEDに「#オーイシ1000円」をつけて投稿したツイートが反映されることなどを案内。「現地組や自宅組などの境界線を超えた、新しいステージを皆さまと一緒に作り上げれればと思います」とコメントシステムの趣旨説明を行った。

撮影:大参久人

撮影:大参久人

コメントによる“オフ会”が約10分間行われた頃、定刻通りにライブスタート。まず1曲目は「エンターテイナー」。ステージ上には歌詞にある“六畳半のワンダーランド”を表したような直方体のスペースが設置されており、そのなかで赤いカーテンに体を包んだオーイシが登場した。歌詞に合わせて直方体のスペースが移動するという、視覚的な演出も合わせて、ライブのタイトルでもあり8月に発売された1stアルバムのリード曲でもあるこの楽曲を披露。つづけて「行こうかパシフィコ!」と呼びかけて、熱いロックナンバー「インパーフェクト」(「SSSS.DYNAZENON」OPテーマ)、ホーン隊の演奏も加わったダンサブルな楽曲「世界が君を必要とする時が来たんだ」(「トミカ絆合体 アースグランナー」OPテーマ)と客席を盛り上げた。

撮影:大参久人

撮影:大参久人

撮影:大参久人

撮影:大参久人

ここで「アニソン界のおしゃべりクソメガネことオーイシマサヨシです」と改めて挨拶。現地・配信のファンに感謝を伝えつつ、今回のライブで使用しているハッシュタグ「#オーイシ1000円」が「#ももクロは夏を諦めない」「#NiziU1stLIVE」と日本のトレンド1位を争っていると紹介。MCの終盤にトレンド1位になったという書き込みをステージ上のLEDに見つけると、「1位のコメントのシャワー浴びていいかな」とステージの2階部分に移動。「みんなのコメントを浴びていたら、光のエネルギーが満ち満ちてきたぞ……」と意味深につぶやき、変身アイテム“ルーブジャイロ”を使用。ステージ左右からウルトラマンロッソとウルトラマンブルが登場し、始まったのは「Hands」(「ウルトラマンR/B」OPテーマ)。曲中にオーイシが両者とハンドシェイクをする一幕も。曲が終わり、ロッソとブルがステージを去ると、オーイシの手にはプラスチックのバットが。振りかぶってスイングして始まったのは「パワフルバディ」(WEBアニメ「パワフルプロ野球 パワフル高校編」主題歌)。金属バットがボールを捉える効果音に合わせてのスイング、LEDには球場のようなイメージ映像が映し出されるなど、作品に寄り添った曲の見せ方で振り幅の広さを見せた。

撮影:大参久人

撮影:大参久人

■ライブ中にアンケート「僕はTwitter芸人じゃありません」

歌い終えたオーイシは、息を整えてから「いろんなことをやりすぎて、僕のことを“何してる人なんやろう”みたいな感じの世の中の声が聞こえてくるんですよ」と切り出し、「オーイシのことなんだと思ってる?」とTwitterで4択のアンケートを実施。軽妙なトークで場をつなぎ、出てきた結果の1位を「Twitter芸人でしたー!」と発表。会場全体から拍手を浴びながら「(バンドメンバーに)ミュージシャンが拍手をすな!Twitter芸人の後ろで演奏するってどんな気持ちや」とドラムのほうを向きながらツッコんだ。ちなみに投票数は11462票、最終結果はアニソンシンガー35.9% 司会業の人3.8% 推しの友達22.4% Twitter芸人38%だった。

撮影:大参久人

撮影:大参久人

撮影:大参久人

撮影:大参久人

結果に不服そうな表情を見せながら「僕はTwitter芸人じゃありません、金冠堂の広告宣伝次長です!ミュージックスタート」と始まったのは「キンカンのうた2020」。スタンドマイクが用意され、ステージ上のLEDには「キンカンのうた2020」のミュージックビデオが流れるなか片手にキンカンを持ち、ダンサー4人と一緒に踊りながら楽曲を披露。見事に効いた曲振りにTwitterのハッシュタグにはすごい数のツイートが並び、会場も一面黄色のペンライトで盛り上がり、オーイシも顔芸を交えつつキンカンの魅力をアピールした。

続けて「沼」(「臨死!!江古田ちゃん」第10話EDテーマ)、「オトモダチフィルム」(「多田くんは恋をしない」OPテーマ)と、オーイシのダンスが見どころになっている楽曲が続く。「沼」ではホーン隊も加わったアダルトな雰囲気の楽曲を紫の照明を浴びながらのダンスを披露。今年1月の配信ライブでも話題になった楽曲で、客席には振り付けに合わせてペンライトが揺れた。「オトモダチフィルム」はここまでではじめてアルバム外から披露された爽やかに恋を歌った1曲。オーイシがはじめてダンスに挑戦した楽曲で、ブロックを締めくくった。

■オーイシが「夏にやり残したこと」は? 和太鼓の生演奏にも挑戦

「踊ったわ……気持ちよかった」と語りながら、ライブの楽しさを改めて感じたというオーイシ。現地組用に「#オーイシ6900円」のハッシュタグないというクレームから、システムの都合上どうしてもできなかったとお詫び。そこから流れるように「夏にやり残したこと」を語りだすと、ステージ上のLEDには花火の映像、そして聴こえてくる祭ばやし。オーイシが「ちょっと行ってくるわ」と退場した。

撮影:大参久人

撮影:大参久人

会場が暗転してしばらく経つと、上半身を赤い法被に着替えたオーイシと和太鼓が登場し、そのまま生演奏。さらになだれ込むように次の曲「モラトリアムダンスフロア」へ。オーイシが内田真礼に提供した楽曲のセルフカバーで、内田の公式アカウントも「モラトリアムダンスフロア!」とTwitterで反応していた。映像に映し出されたミラーボールと桜吹雪に象徴されるように、和テイストも入ったダンスナンバーで、再び会場のボルテージをぶち上げる。続いて披露されたのは、“まるで人ごとのような遠くの祭囃子”という歌い出しから選曲の妙も感じさせる、「神或アルゴリズム(feat.りりあ。)」。LEDでオリジナルアニメMVを流しながら、ステージ上ではオーイシとダンサー1名が白いスクリーンの裏側に入り影絵のように見せるという演出も、オーイシがプロデュースしたオリジナルアニメMVプロジェクトの楽曲ということで映像を主として自身は影として支えるというような関係性を伺わせる演出だった。数秒の暗転から、もとのステージ衣装に着替えたオーイシがアコースティックギターを持って登場。「楽園都市」(「コップクラフト」OPテーマ)。和からラテンに空気を切り替え、タキシード姿のダンサーに囲まれながら“パライーソ!”と高らかに歌い上げた。

■本編最後に一言「パシフィコじゃなきゃダメみたい!」

「やっとギターを持たせていただきました。最初はあんまり踊ったりしてなかったんだけどなあ……」とぼやきつつMCへ。オーイシマサヨシとカタカナの名義に変えてから7周年であること、そして9月19日にSound ScheduleのVo.Gt.としてデビューしてから20年が経ったと報告。改めてファンに感謝した。

「そんな20周年を迎えたエモい気持ちのまま、皆さんにひとつだけ問いたいことがあります。お風呂にする? ご飯にする? それとも僕と寝るー!?」と、「枕男子」(「枕男子」OPテーマ)へ。途中、ステージが暗転するトラブル……のような演出を交えての小ネタを交えて披露。最後に改めてバンドメンバーと“オーイシダンサーズ”、そして自身を「申し遅れました、ボーカル&アコースティックギター&ダンス、アニソン界の“おしゃべりクソメガネ”ことオーイシマサヨシです」と紹介する一幕も。

撮影:大参久人

撮影:大参久人

一度ステージが暗転し、照明が灯ると、椅子に座ったオーイシが。静かにお聞きください「膝枕の曲、歌います」と語ると空気が一変。弾き語りでの「ぼうやの夢よ」(「Re:ゼロから始める異世界生活」第1期第8話挿入歌、大石昌良が作編曲)に観客は耳を澄ませた。ギターをスタッフに預け、再びハンドマイクを持ったオーイシが歌うのは「英雄の歌(「モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け」主題歌)、「ロールプレイング」(「ドラゴン、家を買う。」OPテーマ)。楽曲が使用された作品は違えども、“主人公”に共通する強さや優しさを感じさせるような曲の流れ。勇ましく壮大な「英雄の歌」から、曲中でオーイシがアイリッシュダンスを披露する祝祭感あふれる「ロールプレイング」という展開がこのライブのクライマックスを盛り上げる。

歌い終わり、再びギターを持ったオーイシが「最後に一言言わせてもらっていいですか?」と客席に問いかけ、「パシフィコじゃなきゃダメみたい!」と叫んで始まったのは、“オーイシマサヨシ”名義での第1作「君じゃなきゃダメみたい」(「月刊少女野崎くん」OPテーマ)。一面緑色の光で染まる客席に、7年前から色褪せないストレートなラブソングを歌ったオーイシは、最後に大きな声で「ありがとう!」と叫んで退場した。

■アンコールで明かされた、公演1週間前に決まった配信の裏話「赤字覚悟で」

暗転した会場で客席からの大きな拍手と、LEDにコメントでのアンコールが流れる。再び照明がつくとアレンジした物販Tシャツに着替えたオーイシが登場。アンコール1曲目は、演者と観客のコール&レスポンスが醍醐味の「学園天国」(メンズ5 with T.Mが歌唱したドラマ「ファイブ」エンディングテーマ、編曲:大石昌良)。発声ができないなかでも、客席からはペンライトや拳をあげてしっかりとオーイシの呼びかけに答えていた。

アンコールへの感謝からはじまったMCでは、今回のライブ中MCでも度々触れられている「#オーイシ1000円」について。緊急事態宣言延長で会場に来られなくなったファンがいることを受けて、公演1週間前に急遽決まった配信であること、1月にやった配信ライブが「#オーイシ1000円」だったことから、今回も1000円でやろうとオーイシ自らが提案したことなどを明かした。「赤字覚悟でやっておりますが、今回なんとたくさんの方々に来ていただいて黒字に転換しそうです。ありがとうございます」と報告すると会場からは温かい拍手が巻き起こった。

グッズの紹介を挟んで、「みなさん、きっとお待ちかねでしょう。あの曲やりたいと思います」という前フリから「ドラゴンエネルギー」(「オーイシ×加藤のニコ生☆音楽王」テーマソング)へ。アルバム『エンターテイナー』のCDにのみボーナストラックで収録されている楽曲で、アスキーアートの顔文字が現れて番組の前口上を述べる様子に、オーイシがLEDを指差して爆笑する一幕も。歌い終えると、間髪入れずに「ようこそジャパリパークへ」(「けものフレンズ」OPテーマ、作詞・作編曲)がスタート。歌詞をアレンジしたり、間奏で「僕は仮歌が得意なフレンズの、オーイシおにいさんだよ」と自己紹介するなどの遊びを加えながら、最後の1曲を歌い上げた。

■「今日は今日しかできない夜だった」

最後の曲を歌い終えたオーイシは、「今後もいろんなかたちでライブをやると思うんですけど。手を変え品を変え、さまざまなニーズに合わせていろんなことを考えていきたいなと思うんですけど、今日は今日しかできない夜だったと思います。本当にどうもありがとうございます」とライブを振り返った。「またみんなで集まって、いっぱい笑顔になったりいっぱい泣いたり、いっぱい手拍子したり。いっぱい、指が痛くなるまで#オーイシ1000円で……いやもう1000円はキツイなあ。まあいいや、オーイシ1000円でつぶやいたり。いろんなことしながら、みんなと楽しい時間を過ごしていきたいと思います。本当にどうもありがとうございました」と感謝の言葉とともに会場を見回しながら手を振り、頭を下げた。

撮影:大参久人

撮影:大参久人

BGMの終わりに合わせて「ありがとう!」とあいさつしてからオーイシが退場すると、開演前と同様に花澤香菜が影アナを務め退場に関しての注意事項を説明した。合わせて「このままステージLEDは皆さまのご退場まで点灯しております。ご時世柄、ライブ終了後の打ち上げや飲み会ができない代わりに、ライブの感想などを酌み交わしながら、お時間をお過ごしいただければ幸いです」と案内。「家に帰ってからも、手洗いや消毒などお忘れなく。みなさまが健やかな日常に帰っていくのをお見送りするまでが、オーイシマサヨシのワンマンライブです。またのご来場、お待ちしております」と、新型コロナウイルス感染拡大防止ならびに観客への配慮を見せた。ライブの最初から最後まで、さらに開演前・終演後も含めて現場でも配信でも楽しめるよう配慮した“エンターテイナー”としてのワンマンライブを貫徹したオーイシマサヨシだった。

ちなみに、Twitterトレンドの順位は19時から始まったアニメ番組や生配信、そして今永投手が完投勝利に湧くプロ野球DeNAベイスターズの盛り上がりを受けて終演アナウンスが流れた19時50分ころは5位だったが、「この曲が聴けて嬉しかった」「この曲の流れが最高だった」「次は1000円じゃなくてもいい」「オーイシ10000円でも見るよ」といった興奮や満足が伺える感想が“酌み交わされ”るなか、配信が終了した20時には4位に再浮上していた。

さらに9月26日17時55分からオーイシマサヨシOfficial Youtube Channelにて「オーイシ1000円を一緒に観ようの会」生配信も決定。ファンならばチェックしておきたい。

取材・文:藤村秀二 撮影:大参久人

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